20話目 湖岸の戦場(後)
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『何番手だとか、格だとか、そんなの関係なく1体のポケモンとして、ちゃんと向き合った方がいいんじゃないか?』
『エレナは、ポケモンへの感謝が足りないんじゃないか!?』
『エレナ、お前が何を目指していて、どこを見ているのか知らないが、これだけは言っておく……今、目の前のバトルに向き合わない限り、KK……オレのギャラドスには絶対に勝てないぞ』
(アタシは、自分のポケモンに向き合わず、強さだけで判断している……? アタシは、ポケモンへの感謝を忘れている……? アタシは、目の前の戦いから目を背けている……?)
エレナは、このバトルでグレイから言われた事について考えていた。
(確かに、自分のポケモンに感謝することは忘れてしまっていた……それは反省すべき点だと思うし、それに気づかせてくれたグレイには感謝しているわ)
グレイに言われた事を一部は認めながらも、エレナは心の中で反論する。
(気楽に旅するグレイとは違って、アタシは一流のポケモントレーナーを目指しているのだから、ある程度は強さにこだわっているのは確かな事よ! でも、強さだけでポケモンの価値を決めているなんてことは無いわよ……! それに、目の前のバトルだって真剣にやっているわ……!)
エレナとグレイはこれまでにも何度か戦っているが、グレイは試合中に冗談や挑発の言葉を口にすることはあっても、説教めいた言葉をエレナに言うことは一度も無かった。
グレイがなぜ今日になって突然、エレナに向かって説教めいた言葉を送るようになったのか、その理由はエレナにも分かっていた。
(アタシがシャルラに負けて、自分の考えの甘さに気づいたのが3週間前……最後にグレイと会ったのは、それよりも前……きっとグレイは、甘い考えを改めたアタシの変化に戸惑っているのよ……)
エレナはこの3週間を振り返る。
以前よりもポケモンの鍛錬を厳しくした。自分自身のトレーナーとしての鍛錬も厳しくした。
それらの鍛錬では常に、シャルラという強敵を想定した。ポケモンの強さ、技、動き、戦術を考える時、それらがシャルラに通用するかどうかをまず最初に考えた。いくらポケモンを強く鍛えたとしても、それがシャルラに通用するものでなければ意味がない、そういう考えの元でやってきた。
(アタシのポケモンは3週間前より確実に強くなっている! アタシのやり方は間違ってなんかいないわ! それにシャルラに勝つことを真剣に考えるなら、こんな所でグレイに負ける訳にはいかないの!)
エレナは、最後に残ったポケモンであり自身のエースでもあるアブソルの入ったモンスターボールを取り出す。
白い体毛に覆われた四足獣の外見で、顔の横には鋭い鎌の形をした角が片方側だけ生えていて、尻尾も鋭い刃の形をしている。悪タイプで、わざわいポケモンのアブソル
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