百八 共闘
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ナの方向感覚を狂わせる為である。故に今、急いでギタイの許へ向かったとしてもクスナはなかなか辿り着けないだろう。
(…それまでに片がついていればいいのだが、)
先ほどまでのクスナとの話し合いの場で、ナルトは小さく嘆息を零した。チャクラの光はとうに消えていたが、その光の発生源を気遣わしげに見遣る。
シズクと対峙していた影分身から、君麻呂が【呪印】を解放したとの情報を得たナルトは、案ずるような視線で森向こうを見据えた。本物の紫苑はまさかこのような事態が行われていたとは知らずに、よく寝入っている。
【念華微笑の術】を発動しつつ、ナルトは紫苑を背負った。そのまま封印の祠に向かう。
必ず自分の後を追い駆けてくるだろうという確信がナルトにはあった。それだけの力と技量は十分ある、と知っているから。
同時に、かなり息の合う間柄だと思うのでこれを機に協力してくれれば、と彼は内心切に願っていた。
「喰らうでありんす――!」
六つに増えた拳をギタイが地面に叩きつける。
瞬間、地面に六つの亀裂が奔った。手と同じ数の罅割れは火を伴って地面を滑り、君麻呂目掛けて殺到する。
浅く盛り上がった土が赤熱しているその様子から、溶岩がその下に潜んでいるようだった。危険度合いを即座に悟って、君麻呂が地面を高く跳躍したのは正解だった。
「……ッ、」
爆発。ギタイの視線の先が瞬く間に焦熱地獄と化す。
君麻呂が爆発を回避したのを見て取って、彼は己の六つの眼を細めた。
「ちょこまかとすばしっこいお方でありんすなぁ……それではァ、」
まるで手品を披露するかのように、ギタイは愉しげに腕を振り下ろす。勢いよく地面に振り落とされた六つの手から粉塵が巻き上がった。
「これならどうでありんすかァ―――!?」
再び地面を奔った亀裂があちこちで無差別に爆発する。とても攻撃するどころではなく、君麻呂は回避に専念していた。その上、何度も揺さぶられた影響で足場が崩れる。
何十発もの爆発に耐え切れなくなった地盤がとうとう崩壊したのだ。
「イーヒッヒッヒッヒッ!ぜぇんぶ壊してあげるでありんす!!」
崖壊滅の原因たるギタイが哄笑する。
己自身も崩れゆく崖の崩壊に巻き込まれながら、高笑いを上げるギタイをよそに、君麻呂は周囲に眼を走らせた。一瞬、視界の端で何かがチカッと光ったが、それに気づかず、共に墜落する岩石に激突しないよう宙で体勢を整える。
全壊した岩場。
先に落ちていた君麻呂の頭上に大きな影が下りる。人間とは思えない巨大で歪な姿のギタイが君麻呂の後を追って墜落してくる。障害物である岩石をその異様な姿で押し潰しながら迫り来るギタイを前に、君麻呂は思案顔で我が身を見下ろした。
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