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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五二話 武将
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かと、言葉に詰まった唯依―――その時だった。
 ぱんぱんと乾いた拍手が空虚に鳴り響いたのは。


「素晴らしいご高説だ。余りに見当違いが過ぎて、おかしくて笑えてくる。」

 愉悦と皮肉を鍋でごった煮にしたような嘲笑。そんな声が届く。
 一同が目を剥けると其処には国連軍のモノとは違う蒼の強化装備を纏った青年の姿。右目を縦に裂く稲妻のような傷に茶の混じった黒髪にブラウンの瞳――――忠亮の姿が其処にあった。

「あんた誰だ?」
「た、忠亮さん!?まさか、あの機体に――――っ!?いや、其れより御体は!?」

 やはり、というか予感が的中。
 その懐かしい姿を目に驚愕で眼を見開く唯依。そんな彼女に忠亮が近寄っていく。


「久しいな唯依―――本当にお前には心配を掛けた。だけど、大丈夫さ。」


 そっと、唯依の頬をなでる忠亮の左腕。見つめ合う二人の瞳、言いたいことはお互い沢山あった、でも言葉が上手く出てこない。

「いえ……でも、よかった。手術、本当に成功したんですね」

 視線を彼の貌から右腕へ、其処には最後見た時には存在しなかった腕がある。
 彼の復活、それが意味するところは知っている。だけど、彼が自分らしく生きていける為には必要不可欠。
 そして、彼が困難を乗り越えたという事実が我が事のようにうれしい。


「ああ、お前という支えがあったから耐えられた。」
「あ………」

 不意打ち気味に告げられた言葉、自分は何もしていない。彼が自分で頑張った結果だ。
 寧ろ自分はこの異国の地で未だに何も成し遂げられてはいない―――ただ無力に祈る事しか出来なかった。

 彼の言葉が嬉しくて、自分が不甲斐なくて―――――口惜しさと嬉しさで視界が滲んでくる。


「…………お前はよく頑張ってるよ。」

 静かに唯依の頭を胸元に軽く押し付ける。彼女が泣いている姿を他人に見せはしない。

「―――さて」
 一転、冷めきった声がユウヤに向けれて放たれる。

「な、なんだよ……」
「井の中の蛙が―――此奴に代わってはっきり言おう、貴様は開発衛士どころか衛士の資格すらない。」

 気圧された日系ハーフの青年を睨みつけて唾棄するように、蛇蝎を見るように宣告する。

「資格が無いだとッ!!」
「はっ、自分が命を預ける機体を知ろうともせず、考慮しようともせず、ただ我流を貫くのみ――そんな心構えで模擬とはいえ戦場に立つなんぞ恥を知れ半端モノが。」

「てめぇッ言わせておけ――――!!」

 半端モノ、ハーフを暗喩するその言葉がユウヤの逆鱗に触れた。反射的に拳を振り上げようとする。

 だが、しかし。

「其処までだ。」
「っ!?」


 振り上げた拳が固まった―――否、違う。音
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