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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五二話 武将
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おぉ災難だったな先生。だけどよ慣熟飛行もやってないんだ仕方が―――」
「そういう問題じゃないッ!!!!」

 後ろから語り掛けてきたヴィンセントに怒鳴り散らす。

「俺はみんなのお荷物でしかなかった……しかもっ!!」

 ―――そうか、詰まらん男だな貴様―――
 冷めきった声が脳内で反響する。腸が煮えくり返りそうだった。昔よく聞いた自分を日系人だと見下す声ではなかった。

 それが却って余計に腹が立つ。

「まぁ、それは兎も角。お待ちかねだぜ?」

 そう言ってヴィンセントが指さす方へと顔を向ける。其処には国連軍C型女性軍装に身を包んだ日本人の姿。
 黒髪を揺らしながら近づいて来る彼女は敬礼を行い相対する。

「………」

 軍隊の規則として自身も敬礼を返す。その彼女の――――篁唯依の瞳があの声と同じ温度である事を察するのに時間は不必要だった。

「今回の結果、少しは思うところはあるか?」
「―――はっ、勿論ですよ中尉。開発衛士として最悪ですよ。」

「そうか、では一つ朗報だ。今回の合同演習。後半、斯衛の部隊が担当地区のBETAを一掃し戦線を押し上げた―――その為、東側のスコアとは僅差、ほぼ互角と言っていい結果だ。
 それに加えあの部隊の機体がF-4の改造機、瑞鶴であったことを差し引けば非常に高い評価となるだろう。」


 第一世代機で第二〜第三世代機の機体に匹敵する戦果を挙げた、それが自分の本来の居場所である斯衛軍によるものなのだからさぞかし鼻が高いだろうよ、と内心で毒づくユウヤ。


「しかし、問題だな。貴様の様な人間が本計画の主席開発衛士か―――残念だ、その程度の人間に帝国の未来を預けねばならんとは、な。」
「―――――お言葉ですがね中尉、米軍の第三世代機はこんなもんじゃない。こいつは旧世代機にも劣る。此奴に乗るぐらいならF-4のほうがずっとマシだ。」

 親の仇を見るような目で睨みつけてくるユウヤ。一瞬殴りかかってくるかと思ったがかろうじて堪えたようだった。
 だが、其の言い訳紛いの言葉は更に唯依を失望させた。


「つまり、今回の醜態の結果は機体のせいだと?」
「まさか、俺が此奴を乗りこなせなかったことは事実だ。だが、俺も開発衛士の責務に従って此奴を評価したまでですよ。
 こいつは機体の運動性だけを追求した割に主機出力が低すぎて実戦機動なんて相当な曲芸家じゃないと無理な欠陥機だ。」

 機体のせいじゃないと言いながらいけしゃあしゃあと吹雪が欠陥機だから自分は悪くないというユウヤに唯依の堪忍袋の緒が切れかける。
 ましてや、この場にはR型を駆る衛士―――五摂家に属する御方が居られるというのに斯様な醜態を晒して唯依の顔を潰すこの半端モノにイラ立つ。

 どうした物
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