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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五二話 武将
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を世界初で運用にこぎつけた日本帝国がその象徴ともいえる軍隊で未だに第一世代機を運用しているという事実にやや得心がいかないイブラヒム。
イギリスの王室近衛軍で既に武御雷と同じ第三世代機であるEF-2000が配備されている事を考えればその疑念も当然だ。
尤も、その理由は斯衛軍が独自装備を調達するという風習と武御雷の生産性の低さが理由であるが。
壱型丙を斯衛軍用に改造したのが武御雷だが、そんなことをせずに壱型丙を斯衛軍用の機体として配備していたほうが良かったのかもしれないが所詮は後の祭り、その討論に意味はない。
意味があるのは、あの蒼い機体に乗っている人間の身分が明らかであるという事実だけだ。
「そして、あの蒼い機体に搭乗を許されるのはその長である五摂家の方々だけです。」
「まさか―――日本の
将軍
(
ゼネラル
)
の機体だというのか!?」
モニターに映る両腕にブレードマウントを強引に取り付けた瑞鶴。敵の動きに対し常に先読みによって悉く先手を打ち、斬撃とその間に背部兵装担架による近距離射撃を組み合わせた連撃が炸裂し血風の嵐を巻き起こしている。
しかも、一番動いているというのに機体に掛かる負担を一番抑えた挙動だ。機体に無理のない斬撃を最も高威力となる姿勢で放っている―――あれから比べたらブリッジスの挙動なんて児戯にさえ劣る。
そして空力制御に四肢と長刀を振っての重心変動を上手く活用しての空中機動―――恐らく推進剤の消耗も相当に低いだろう。
「しかし、一体誰なんだ……」
あのような前腕部に兵装担架を無理やり取り付けた機体に乗る五摂家の衛士の話など聞いたことが無い。
五摂家の人間ならば皆の模範となる為、非常に高いレベルの教練を課される。
其れこそ実技から戦術まで―――だが、其れゆえにそのスタイルは高度だが
標準形
(
オーソドックス
)
となる。
だが其れとは全く異なる、実戦の中で恣意的に醸成された野性的な合理性が垣間見えるあのスタイルは極めて異質だった。
―――摂家の人間らしくない、凄腕の衛士。
「まさか……な」
確証と呼べるものは何もない、だが唯依の脳裏にその二つが結びついて一人の人間が思い浮かんだ。
「一体何だってんだッ!!!」
吹雪の機体から降り立ったユウヤは強化装備を身にまとったままハンガーの壁を殴りつけた。
吹雪の機体を全く制御できず醜態を晒し、さらに不意打ちとはいえ行き成り現れたF-4に、全機退役しているような旧型機に反応すら許されずに落とされた。
衛士としての最高峰、エリア51最強の衛士であるユウヤとしてこれ程の屈辱はない。しかも乗りこなせなかった機体も、自分を落とした機体も日本のモノだというのが尚更琴線に触れる。
「
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