両者の策
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ないし、何よりトビーが圧倒的に強化されている。油断さえしなければ今のままでも十分勝てるさ」
心配するユウカを落ち着けるように自信の根拠を語っていく氷の造形魔導士。こいつは本当に頭が回るな。私と戦った時も、ジュビアにうつつを抜かしていなければもっといい勝負になったんじゃないか?
「さて、そろそろ奴等のところに着くはずだ。気を引き閉めておけ」
声の聞こえた方向、大きさからおおよその位置を把握しているリオンがそう告げる。それを聞き、私たちの背筋がピンッと伸びる。
「シリルかシェリア、もしくはレオンのスペルをコールすればいいんだな?」
「そうだが・・・ギリギリまで耐えた方がいいかもしれんな」
相手の有効なスペルはおそらく二つはあるはず。それを誰が持っているかわかったらすぐに無効化しようと考えたが、リオンがなぜかそんなことを言う。その理由が一瞬わからなかったが、すぐに理解することができた。
「戦闘中に接近したタイミングで・・・か」
「あぁ」
相手が攻撃を仕掛けるために接近し、他のメンバーからの援護ができないタイミングでコールしてやれば、そいつを簡単に退場させることができる。それがシリルやレオンならなおさらだ。
「奴等に会ったら最初にスペルを全員に教えてくれ。いつでも硬直させれるようにな」
「わかった」
誰がピンチになっても一発逆転のチャンスを掴むことができる。ソフィアたちはそんなスペルを持っているのだろうか?
もし持っていないのなら、この勝負は私たちの勝ちだ。
「この角を曲がったところにいるはずだ」
ついに敵陣の目の前までやって来た。私はスペルのイメージを最大限に広げ、すぐに相手のスペルを看破できるようにしておく。
「準備はいいか?カグラ」
「あぁ」
「よし、行くぞ」
敵の死角になる場所からリオン、トビーを前衛に、後方にはユウカが奇襲に対応できるように並んでプレーヤーである私に攻撃できないようになっている。
万全の体制で直接対決へと臨んだ私たち。そして、敵の姿が完全に見えたと思った瞬間・・・
ビュッ
風を切り裂くような速度でトビーが何かに連れ去られていった。
「「「!?」」」
思わず振り向きその姿を確認しようとしたが、圧倒的な速度で移動していたそれはすでにどこにも姿がなくなっている。
「ハッ!!」
あまりのことに呆然と立ち尽くしていたが、ここは戦場。すぐに後ろに敵がいることを思い出し振り向く。
「天神の北風!!」
振り向いたすぐ目の前には黒い風を右手に纏わせそれを振るう少女がおり、慌てて倒れるようにして攻撃から逃げる。
「なっ・・・」
だが、私の後衛として配置されていたユウカは魔法を放とうとする少女の声で
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