暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
113話:互いが望む未来
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うらぁあッ!」


 拮抗し停止していた剣を無理矢理振り抜き、ディエンドの砲撃を防ぎきる。霧散していく小さなのシアンの魔力粒子が飛び散り、ベクトルが変えられた砲撃がビルに衝突する。
 見ていた観衆からは「おぉ」と歓声が上がる。銃口を向けるディエンドと、剣を構えなおすディケイドだが、先程までとは違い互いを正面に捉えたまま、静観している。


「…僕が、焦っている? ハッ、いったい何に?」


 そんな中口を開いたのは、ディエンドの方であった。銃を向けたまま、先程の言葉に答えるかのような口ぶりに、しかしディケイドは顎に手を当て頭を捻る。
 

「いや、焦るとはちょっと違うか…―――どこか苛立っている、の方が合っているか」
「ッ……」


 図星、思わず言葉を詰まらせる。
 その様子を感じ取ったディケイドは、ディエンドをしっかりと正面から見やる。その理由をどこか理解しているかのように……


「そんなに憎いのか? 俺が―――世界が」
「…あぁ、憎いよ。この世界も…―――前世(むかし)の世界も」


 静かに燃ゆる憎しみの炎。仮面の下に隠れる歪んだ表情が、その炎の激しさを物語っていた。


「今も変わらない、世界は今のままではダメなんだ」
「そうだな、確かに変えなきゃいけない。でもそれは、支配によってできる世界じゃない!」
「いや、そうでもしない限り世界は変わらない。犠牲無くして変革はない」


 この世界は、この世界に生ける者達は……次なる世界の犠牲に。
 今のこの世界そのものは、次なる世界の礎に。


「破壊なくして、創造はない」


 それはお前が一番、分かっているだろう?


「破壊者…ッ!」
「………」


 再び引かれたトリガー、弾丸の射出音が鳴り響く。咄嗟に剣を振るってシアンの弾丸を弾き落とし、すぐさま一歩踏み出す。
 銃撃戦で敵わない以上、戦うには接近戦あるのみ。そう判断しての行動だ。

 しかし、それを想定していないディエンドではない。


〈 WEAPON RIDE・KNIGHT ――― DARKVISOR 〉


 新たなカードの発動、現れた剣のナックルガードで振り下ろされる剣を受け止める。
 ナックルガードが黒い蝙蝠(こうもり)のような形状をしている細身の剣―――ダークバイザー。それと先程召喚した剣と同時に振るい、二刀流の構えを取り、再びディケイドと斬り結ぶ。


「支配での変革なんて、できる訳ない! いつか誰かが、その世界に疑問を抱く!」
「その疑問すら、支配で消し去る! そしていつかは、誰も疑問を持たなくなる! それが世界の当たり前になる!」


 そうすれば変える者は現れない。全てが変わらず、公平で不幸のない世
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