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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#15
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREZ 〜Trust Ambivalent〜
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!」
 コレを身を捻って躱した承太郎の学ランの端が千切れ
アンダーシャツの脇腹が裂け血が繁吹く。
 だが逆にこの危機へこそ 「機」 を見いだした承太郎は、
そのまま伸びきった蔓の束をスタープラチナの両腕でがっしりと抱え込み
全身からパワーを振り絞った。



ゴゴゴ、ゴ……!



「あ、あら?」
 予想外の振動に幹の中でティリエルが躓き、
その頭上から火の粉で出来た山吹色の木の葉が
雪華のように舞い落ちた。
 足場のない空中で聳える大樹そのものを支えとし、
強大なパワーを誇るスタンド、
スタープラチナが文字通り根刮ぎその全体を引っ張った。
 眼下で道路が土塊のように盛り上がり幹に接触したビルの壁面が砕ける。
 動いた距離は実質5メートルにも満たなかったが、
それでも圧倒的質量の荷重移動により大気が震えた。
「わぁ、スゴイ……」
「やった!」
「むぅ……!」 
 聖書、或いは寓話の中でしか存在し得ない超絶的な光景に、
敵味方の区別も忘れ見入る三者。
「……」
 圧倒的なパワーにより 「射程距離」 を引き寄せ圏内に入った少女を一瞥し、
即座にスタンドが抱えた蔓を足場に飛び移り、拳を構え撃ち出す、
「――ッ」
筈だった。
 その射線上にティリエルが豪奢な金髪を靡かせ、
可憐極まる風貌を無防備に晒け出すまでは。
「――ッ!」
 自分でも何をやっているんだと訓戒に焦慮する貴公子の視界で、
異界の美少女が無垢な笑顔を満面にして告げる。
「そう、出来ませんわよね? 
『アナタのような』 殿方は、
女性の顔を殴るなど、決して出来ない」
 細く伸びた蔓の道、小用でも済ますようにドレスの裾を摘み、
その隙間から上品なレースの靴が覗いた。
 言うまでもなく、 スタープラチナのような超スピードを宿す能力に
ティリエルのような “遠隔操作型” の異能者が射程圏内に踏み込まれたら、
勝敗はほぼ決したと言って良い。
 しかしそのような窮地にも関わらず
ティリエルは実に大胆で合理的な方法を取った。
 スタープラチナによる予想外のパワーに戸惑うコトも僅か、
最初から想定していた危難に於ける対処を忠実に実行した。
 ソレは、嘗て彼と交戦した “狩人” フリアグネ最愛の従者、
“燐子” マリアンヌとの戦闘を彼女が見ていたコトに端を発するが
その術を実際に実行出来るか否かはまた別問題。
 もし失敗すれば絶命は確実、2本有る爆破コードの何れかを切るか、
或いは次の瞬間発射されるかもしれない大砲の中を覗き込む行為に等しい。
 無知故の蛮勇ではなく100%状況を理解していながら尚、
躊躇なくソレを実行できる思い切りと気概。
『強さ』 とは能力のみに在らず、知性のみに在らず、
これら精神の
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