【お前は生きろ】
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。みんなと一緒に……あなたともっと先の未来を見たいから」
( ヒナ...タ…… )
───霞んできたネジの眼が最後に捉えたのは、過去の自分だった。
「俺は、未来の自分がどんな死に様をしようが知った事じゃない。……だが、満足して死んだつもりで未練がましくこんな所に戻って来る暇があったら、さっさと元の自分に還れ。───まだ間に合うなら、生きろ。自分自身の未来を。ヒナタ様や、ナルト達と共に」
その言葉を聴き届けたように瞳を閉ざし、微笑みを浮かべたネジは、幾つかの小さな光の粒となって上空へと運ばれて行った。
「ネジ……、大丈夫だよな、あいつ」
ああは言ったものの、ナルトは心配してネジに同意を求める。
「俺は父上に……父様に、言われているんだ。『お前は生きろ』と。───だから、まだあいつに死なれては困る。俺には、生きて見届けたい未来がある。そう簡単には、死ねないさ」
どこまでも続く蒼い空を仰ぎ見、微笑するネジ。
(きっと……、生きていてくれる。ネジ兄さんなら────)
今しがたまで触れていた未来の存在を愛おしむように両手を胸の前に添え、ヒナタは祈りを込めて瞳を閉ざし、微笑んだ。
「────さん...兄さん……ネジ兄さん!」
「────・・・・・・!」
自分を何度も呼ぶ声を辿ってゆくと、そこにはヒナタが、瞳に涙を浮かべこちらをのぞき込むように見つめていた。
もう1人……憔悴した様子のナルトも居る。
「やっと……やっと、目ぇ覚ましたなネジ。お前、どんだけ寝過ごしてんだ…ッ!」
今にも泣き出しそうに、ナルトは笑った。
「目を覚ましそうな気配だったから、さっきから何度も呼び掛けていたの。良かった……本当に、良かった...! お帰り、ネジ兄さん」
「ヒナタとオレを庇って、意識だけどっか行っちまったままになりやがって……。お前の居場所は、ここなんだ。ネジ...、もう勝手にどっか行ったりすんなってばよッ」
かなりの間、病室のベッドで意識が無かったらしく声をうまく出せなかったが、その代わりネジはヒナタとナルトを安心させるように微笑んで見せた。
(そうだ……、俺にはまだ、役目がある。この二人や、仲間達の未来を……俺は生きている上で、見届けなければ)
《終》
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