【いたずらなお月様】
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の声になってんだ? ネジの姿で中身はヒナタって……変化してたのか?? じゃあヒナタの姿してんのにネジの声って事は────あぁッ、よく分かんねぇってばよ!? とにかくオレも追いかけねぇとッ」
誤魔化す必要の無くなったヒナタ姿のネジは、高めに発していた声を地声に戻して先を行き、ナルトは混乱しつつもネジ姿のヒナタを取り返すため、攫った敵を追う。
────・・・ヒナタは夢を見る。
とても苦しく、辛い夢を。
大きく翼を開いた鳥のように両腕を広げ、従兄のネジが敵の攻撃からヒナタを庇い、身体のあらゆる箇所を鋭利な物で貫かれ、その場にくずおれてうつ伏せに倒れ、死んでしまった。
ヒナタは眼を疑った。
そんなはずない。ネジ兄さんは、とても強い人だ。
こんな、簡単に死んでしまうはずがない。
私が、弱いから、死んでしまったの?
兄さんを守る事も出来ずに、守られて、死なせてしまうなんて。
医療班の助けを呼ぼうとしても、声が出せない。
地面にへたり込んだまま、立ち上がる事も出来ない。
ネジ兄さんを抱き起こして、死んだりしてないって、確認したいのに、身体が動かない。
とめどなく流れる涙だけが、頬を伝う。
いくら泣いても、ネジ兄さんはうつ伏せに倒れたままだった。
もう二度と、言葉を交わす事も、微笑みを向けてくれる事もないんだ。
────胸が張り裂けそうになって、目が覚めた。
頬が、涙に濡れている。
身体が、小刻みに震える。
自分の身体が自分のものでないかのように重く、身を裂かれたような痛みすら覚えた。
夢……、ただの、夢だったんだ。
落ち着こう、落ち着かなきゃ────
ヒナタは上半身を起こして胸に両手を当て、浅くなっていた呼吸を落ち着かせる。
それからつと思い立ち、白眼を使用してネジが居るはずの家の部屋を透視した。
ネジは昨日、任務を終えたばかりで里に戻っているからこの夜分にはきっと自分の部屋で眠っているはず……なのに、
その姿が無い。
ヒナタは耐え難い不安に襲われ、更に視野を広げる。
───すると、里からほど近い川辺に1人佇んでいるネジを見つけ、居ても立ってもいられなくなり急いでその場へと向かう。
「……ヒナタ様、こんな夜更けにどうしました?」
雲一つない、白く煌々とした満月の元、ネジはヒナタの気配に気づいてこちらを向き少し驚いた表情をしたが、特に変わった様子は見られなかった。
目の前で、ちゃんと生きていてくれていると感じたヒナタは安堵と共に、堪えきれずすすり泣いて顔を覆う。
「───何か、あったのですか?」
案じて
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