暁 〜小説投稿サイト〜
NARUTO日向ネジ短篇
【あなたのいない墓の前で】
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
と、好きになれたはずなのに……ズルいよ、わたしの知らない所で、勝手にどこかへ行ったまま戻って来ないなんて────


 兄さま、お願い、帰って来てよ。


いつものクールな顔して、それともめったに見せない笑顔で、

『どうしました、ハナビ様』って……今のわたしを、気遣ってみせてよ…っ。


「───どうしたハナビ、傘も持たずに。カゼ、引いちまうぞ」

 うずまきナルトが、いつの間にかわたしの傍に立っていた。

ナルトだって、傘なんて持ってないじゃない。……雨は小雨から、少し強くなっていた。

ネジ兄さまだったらきっと、傘を持って来てくれたんだろうな。

 兄さまにとって、大切な存在の1人であるナルト───

そう思ったら、急に怒りが込み上げてきた。


「あんたの……あんたのせいよ、うずまきナルト! あの大戦はあんたを守るための闘いで、ネジ兄さまはそれを忠実に遂行してあんたを守って死んだ!!」

「─────」

 ナルトはいきなりわたしに責められて、言葉を失っていた。蒼い眼は逸らさずに、悲しげな表情でわたしを見ている。

わたしは今、どんな顔に見えてるだろう。ただ、怒りに満ちているのかな。

雨粒のせいで、頬を伝うものが涙かどうかさえ、自分でも分からない。


「……あんたを責めたって、兄さまが喜ぶはずないって分かってる。何より、ネジ兄さまが貫いた信念を否定することになるから。

でもやっぱり、悔しいよ…っ。わたしはまだ年端もいかないからって大戦に参戦できずに安全圏にいて、何も出来なかった……。守れもせずに、兄さまの死を、防げなかった…っ!

どうしてくれるのよ、あんたがもっとしっかりしてたら、ネジ兄さまは死なずにすんだんじゃないの!? ねぇ…なんとか言いなさいよ!!」


 わたしは両手を握りこぶしにして、ナルトの上半身を何度も叩いた。

ナルトはされるがまま、ほとんど聞き取れないような言葉を発した。


「謝るわけには、いかねぇんだ。あいつが……ネジがそれを望んでねぇのは分かるから。だからせめて、ありがとうって、一方的に礼しか言えねぇんだよ」

「わたし、は……わたしの気持ちは、どうすればいいの。大戦前に、姉さまと一緒にちゃんと戻って来てよってネジ兄さまに言ったら、『必ず戻って来ますよ』って……約束してくれたのにっ…!」


「────ハナビ」


「! ヒナタ、姉さま……」

 いつの間にか傍にいて、大きめの傘でわたしとナルトの頭上を降り注ぐ雨から遮ってくれていた。

自分が濡れるのも、構わずに。


「これ……大戦前に置いていった、ネジ兄さんが生前ずっと身に付けていた額当て。忍連合としての額当ては持って帰れなかったけど、兄さん
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ