【ネジおじさんの休日】
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作りを始めたが────
「…痛っ!」
「あ、おばさ…じゃない、ハナビ姉ちゃん大丈夫か?」
食材を切っていたハナビからちょっとした声が上がり、居間で妹とおじさんとトランプしていたボルトが心配して声をかけた。
「平気よへーき! ちょっと指切っちゃっただけ…」
「ほら、見せてみろ。───絆創膏を貼ろう」
こうなる事は分かっていたらしいネジがすぐ救急箱から取り出して、ハナビの指に手際よく絆創膏を巻いた。
「あ、ありがとう兄様」
「…食材を切るのは俺に任せて、ハナビは火にかけた材料を焦がさないように混ぜていてくれないか」
「ヒマとお兄ちゃんもお手伝いする〜!」
「いや、気持ちは嬉しいが安全の為に、二人は台所に近づかない方がいい」
「何よそれ! まるで私が台所の危険物みたいじゃないの───あ゛っつう?!」
言ってる傍から火にかけた材料を混ぜるヘラを持つ手に力が入り過ぎ、熱せられた中身が少し飛び散ってしまう。
「……ハナビ、やはり夕食の支度は俺に任せてくれ。このままだと惨事になりかねない」
「もう、大げさよ兄様ってば! じゃあせめて食器を出して───あぁ!?」
棚から大きめの皿を取り出そうとして手がすべり、床に落ちる寸前ネジがキャッチして事なきを得た。
「ハナビ様、ボルトとヒマワリと一緒に居間でゲームでもして大人しくしていて下さいね?」
昔のように敬語に戻ったネジの口調は穏やかそうでいて怖さを含んでいたので、ハナビはすごすごと言われた通りにした。
「…ねぇねぇハナビお姉ちゃん、スキな人できた?」
「う〜ん、それがねぇヒマワリ、なかなかいい人見つからないのよ。私ったらいつまで婚期逃せばいいのかしら」
結局ネジが作った美味しい夕食後に、居間でまったりしながらハナビはヒマワリの問いに遠くを見るような目をした。
女として強さと美しさを兼ね備えたハナビだが、致命的に料理が出来ず、それがネックになっている訳ではないがなかなか良縁に恵まれていなかった。
「───でも私がこのまま結婚しないで子供が出来なくても、日向の仕来たりは昔に比べてずっと楽になってるし、日向の中で優秀な者を次期宗主に決めればいいからそんなに焦る必要ないのよ。まぁ、父上にはそこの所心配されてはいるけど」
「じゃあハナビ姉ちゃん、おじさんとケッコンすれば? イトコ同士はケッコン出来るって聞いたことあるってばさ」
「そうねぇ、私もネジ兄様もいい歳だし……結婚しちゃう?」
「ダメだよお姉ちゃん、おじさんは将来ヒマとケッコンするのっ!」
ヒマワリはひしっとネジの片腕にしがみついた。…その場で断ってもヒマワリがムキになるので、ネジは一応何も返さな
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