sts 36 「親として」
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
りしかいない。
「ショウ……くん」
「大丈夫だ……ヴィヴィオをよく見てみろ」
その言葉に導かれるように覗き込むと必死に起き上がろうとしているヴィヴィオの姿が見えた。レリックが壊れたことで子供の姿に戻っている。
私の脳裏には以前ヴィヴィオが転んでしまったときの出来事が過ぎる。その直後、目頭が熱くなるのを感じた。
「ひとりで……起き……られるよ。……強くなるって……約束したから」
こちらに来るまで待とうかと思ったけど、変わろうとしているヴィヴィオを見て……成長した娘を見て私は待っていることが出来なかった。私は痛みを忘れてヴィヴィオへ駆け寄って行き感情のままに抱き締める。
――本当に……本当に無事で良かった。
自分の腕の中に居る存在に安堵と愛おしさを覚える。しかし、まだ全てが終わったわけじゃない。このままこの場に留まっていては危険だ。早く脱出しなければ……。
そう思い立ち上がるとまたふらついてしまった。けれど力強い腕に抱き留められる。
「気持ちは分かるがボロボロだってこと忘れるなよ」
「ご……ごめん」
「分かればいいさ……ヴィヴィオも頑張ったな」
ショウくんはヴィヴィオの頭を優しく何度か撫でると、ファラ以外の武装を全て収納してヴィヴィオを抱きかかえた。
それとほぼ同時にゆりかご内に聖王消失を知らせるアナウンスが流れ始める。早く脱出しなければ何が起こるか分からない。
「ショウくん、なのはちゃん!」
声の主は私達の隊長にして親友のはやてちゃん。髪や瞳の色を見る限り、リインとユニゾン状態にあるようだ。どうやらこちらにも駆けつけてくれたらしい。私もショウくんもボロボロなだけに非常にありがたいと言える。
しかし、次の瞬間。
魔力リンクが消滅したのか飛行魔法は消失し、ユニゾン状態だったセイバーとリインは強制的にユニゾンを解除させられた。
何が起こったのか分からないけど、脱出と戦闘機人の確保を行う必要があるため、最も動けるはやてちゃんが戦闘機人の回収へと向かい、私達は現状の把握を始めた。
「いったい何が……」
「この船自体がロストロギアで館内には高濃度のAMFが発生してたからな……魔法が使えなくなっても不思議じゃない」
「ショウさん、なんでそんなに冷静なんですか。魔法が使えないと飛ぶこともできないですし、通信もできないんですよ!?」
リインの言うことは最もだけど慌てても意味がない。セイバーが慌てふためくリインを落ち着かせ始めてしばらくするとと、私が破壊した壁の奥の方に人影が見えた。はやてちゃんが戦闘機人を回収して戻ってきたらしい。
「その様子やと良い案は浮かばんかったみたいやな。しゃーない、歩いて脱出や」
「はいです……あ、でもショウさんやなのはさんが」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ