sts 36 「親として」
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カートリッジを1発リロードしてヴィヴィオの砲撃ごと撃ち抜く。
しかし、ヴィヴィオはすぐさま私の後方へと移動していたらしく両手に七色の魔力を纏わせて殴りかかってきた。ショウくんがそれを受け止めるがボロボロなこちらと違ってあちらの出力は落ちていない。そのため、ショウくんのガードを崩したヴィヴィオは渾身の2連撃によって私達を地面に叩きつけた。
「もう……来ないで」
再び言われる拒絶の言葉。だけどそこにあるのは私達の身を案じての心配や傷つけることへの罪悪感であり、本当に拒んでいるようには思えない。
それだけに私もショウくんも諦めるような真似はせず、互いにデバイスで体を支えるようにしながら起き上がった。
「もう分かったの私……私はずっと昔の人のコピーで…………なのは……なのはさんもフェイトさんも本当のママじゃないんだよね。ショウさんも本当のパパなんかじゃなくて……私はこの船を飛ばすためのただの鍵で……玉座を守る生きてる兵器」
「ヴィヴィオ……」
「違う……違うよ」
「本当のパパやママなんて元からいないの……守ってくれて……魔法のデータ収集をさせてくれる人を探してただけ」
「違うよ!」
たとえそれが本当のことだとしても、それでも私は……!
「違わないよ! 悲しいのも痛いのも……全部偽物の作り物。私は……この世界に居ちゃいけない子なんだよ!」
「……違うよ。生まれ方は違っても今のヴィヴィオは……そうやって泣いてるヴィヴィオは偽物でも作り物でない。甘えん坊ですぐ泣くのも……転んですぐ起き上がれないのも……ピーマン嫌いなのも……私が寂しい時に良い子ってしてくれるのも――」
脳裏に蘇るヴィヴィオとの日々。それは期間にしてみればとても短い……けど私にとってそれはかけがえのない大切な思い出になってる。失いたくないものになってしまっている。
「――私の大事なヴィヴィオだよ。……私はヴィヴィオの本当のママじゃないけど、これから本当のママになっていけるように努力する。だから……居ちゃいけない子だなんて言わないで!」
私は泣きながら本当の気持ちをぶつけながら近づいていくけど、ヴィヴィオはその分だけ離れてしまう。
ヴィヴィオの本当の気持ちが知りたい。それが知れれば私は絶対にやり遂げられる……やり遂げてみせる。でも……それにはあと1歩足りない。
「ヴィヴィオ、いい加減諦めたらどうだ?」
「ショウさん……何を諦めるの?」
「強がって本当の気持ちを言わないのをだ。なのはは頑固だ……一度決めたら最後まで折れたりしない。そして俺も……今回は折れるつもりはない。お前を連れて帰る」
静かだけど明確な強い意思が宿った言葉にヴィヴィオの目からはさらに涙が溢れる。
「何で……何でそこまでして私を」
「何で?
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