sts 36 「親として」
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れば呆れもするさ。どうせここから壁抜きでもするつもりなんだろ?』
『……うん』
『やれやれ……1歩でも間違えればあの世行きでもおかしくないってのに。だがまあタイムリミットを考えればその方法がベストなのも事実か』
現実を受け止めるようにショウくんは静かに両手の剣を構える。ヴィヴィオを本気で叩きのめすつもりはないんだろうけど、それでも今のヴィヴィオの戦闘力を考えると加減を間違えば自分がやられてしまう。
『おいなのは』
『は、はい』
『人のこと心配してそうだが自分の心配してろ。ヴィヴィオの足止めよりもブラスター3を使用して壁抜きするほうがダメージは大きいんだから』
ぶっきらぼうな言い方ではあるけどショウくんが私のことを心配してくれているのはよく分かった。それと同時に先ほどまで不安や焦りで重く感じていた心が軽くなる。
……もう……ショウくんはずるいよ。
私にはいつも厳しいというか意地悪な物言いをするくせに……今みたいに心が折れそうな状況の時はいつも傍に居てくれる。駆けつけて声を掛けてくれる。私のことを支えてくれる。
本人からすれば支えてるつもりはないのかもしれない。だけど私にとってショウくんは……魔法と出会った頃から親しくなり始めた人。一緒に事件を解決していく中で心の強さ……誰かを守りたい、助けたいっていう想いの強さを感じさせてくれた人だ。
――ううん……そんなんじゃない。そんなのは最初の頃の印象……私にとってショウくんはそれだけの人じゃない。本当はずっと……ずっと前から私は…………ショウくんのことが好きだったんだ。
明確に好きになったのがいつなのか……それはよく分からない。最初は友達になりたいと思ってた。友達になってからはもっと仲良くなりたいって思うようになった。
「……だけど」
いつからか他の子と話したりしてると胸の奥がざわつくようになっていた。よく噛みつくように私には意地悪だとショウくんに言ってしまう衝動はそこから来ているのかもしれない。
……あーあ、本当はまだ認めるつもりなかったんだけどな。
この事件を解決してからじゃないと意識が拡散してしまいそうだと思っていた。認めてしまったら確固たる自分がブレてしまいそうで不安だったから。
だけど……認めてしまった今だからこそ分かる。今の自分は先ほどまでの自分よりも強気で冷静だ。大好きな人が傍で支えてくれる。それほど心強いことなんて他にない。
「はあぁッ!」
痺れを切らしたかのようにヴィヴィオが気合を発しながらショウくんへと向かって行く。ショウくんは逃げようとはせず真正面から迎え撃つもりのようだ。
今のヴィヴィオの攻撃力は私の装甲や防御魔法でさえ抜いてくる。ショウくんは私よりも脆いだけに心配だ。出来ることならフェイトちゃん仕込み
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