暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
sts 36 「親として」
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「ショウくん……どうして?」
「どうしてって……普通に増援として来ただけだが?」

 確かにそうなんだろうし、前衛が居ることで私は真価を発揮するタイプなので非常にありがたいんだけど……ここまで絶妙なタイミングで来られると呆気に取られると言いますか。というか……

「何でこっちに来たの。ヴィータちゃんの方が……」
「安心しろ、そっちにははやてが向かってる……それよりも悠長に話してる場合じゃないだろ」

 ショウくんの視線は真っすぐ黒衣の少女……聖王として覚醒したヴィヴィオに向けられている。対するヴィヴィオは私に向けていたものと同様にショウくんにも敵対の意思を向けていた。

「……なあヴィヴィオ」
「――っ、馴れ馴れしく私の名前を呼ぶな!」

 爆発的な踏み込みからヴィヴィオは正拳を繰り出す。フェイトちゃんとも渡り合える機動力を持つショウくんならば回避することは可能だったろうが、あえて彼は両手を剣を交差させて真正面から受け止めた。

「俺達がいないと泣きそうだったのに……今は反抗期か?」
「ごちゃごちゃとうるさい!」

 ヴィヴィオは一度距離を取ると次々と魔力弾を放つ。それに対してショウくんは慌てることなく右の紫黒の長剣を回しながら肩に担ぐと上段から一閃。その勢いを殺さないまま1回転し再度上段から斬り下ろす。左右から切り返しながら剣に導かれるようにバク宙し、着地するのと同時に流れるように3度剣を振るう。
 確か7連撃技《デッドリー・セブン》だったはず。私は剣を使うわけじゃないけど、何度見てもよく重そうな長剣を軽々と振るうものだと感心させられる。
 ……だけど。
 どうしてショウくんは回避行動を取らないのだろう。後ろに私が居る状態とはいえ、私は動けない状態にあるわけじゃない。故に必要以上に守る必要はないはずだ。今のヴィヴィオは圧倒的な魔力を持つだけにたとえ魔力弾でも十分な威力を誇るのだから。
 そう思った直後、ショウくんの口元からわずかだが血が垂れていることに気づく。今の攻撃の余波で床の欠片が舞って切ったのかとも思ったが、見た限り外傷はなさそうだ。彼は左手で口元を拭うと剣を構え直す。

『ショウくん……大丈夫なの?』
『大丈夫じゃないなら戦えてないと思うが?』
『そういう意味じゃなくて!』

 あぁもう、何でこういうときでも素直に答えないのかな。普段の会話でならそれでも別にいいけど、今は戦闘中……しかも私も万全な状態じゃないし、ヴィヴィオも加減なく攻撃してくるのに。

『もう、ちゃんと答えて。無理させるわけにはいかないんだから』
『すでに無理してるお前にだけは言われたくないんだが……俺のことは気にするな。ところどころ痛めてるだけで問題はない』

 いやいや普通に問題あるから。それってつまり外傷らしい
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