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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第六十四話 リッテンハイム侯爵の反乱です!!
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と、アリシア。
「どう思うかしら?」
イルーナがラインハルトに目を向けると、
「どのみち我々では素人同然であり、捜査のしようがない。下手をすればかえって彼らを警戒させるだけのことになりましょう。カストロプ星系の方は我々が行うとして、全体的な捜査は玄人に任せるべきだと思います。」
「では、アリシア、レイン。社会秩序維持局が動くだけの餌を用意しておいてくれるかしら?」
「承知しました。」
二人はうなずいた。社会秩序維持局は憲兵隊と業務が重複するものの、広大なスパイ網を構築し、こと帝都における治安維持に辣腕を振るっている部署である。そのやり方や拘束する容疑者の有罪の有無についての検証方法などはともかくとして、帝都の秩序維持に一定の効果を上げていることに関してのみは事実であった。またハイドリッヒ・ラングは帝国の役人には珍しく収賄をすることを是とせず、ただ一公僕として職責を全うしているという点をイルーナは評価している。彼女からすれば一個人には欠点があり、その欠点を飲み込んだうえで有効活用すれば良いというのである。ラングの欠点や弊害についてもイルーナらはよく把握しているのであるが、この欠点を逆に利用して最大限効果を上げさせることも可能であると思っていた。
「ラインハルト、キルヒアイス。ラングの人となりについては色々と思うところはあるかもしれないけれど、使える人材はできるだけ無駄に遊ばせておきたくはないの。その辺りのことを、理解してくれる?」
イルーナはラインハルトというよりもキルヒアイスに言ったのだった。それには理由がある。今までは昇進の階段を駆け上がるだけでよかったが、今後はそうはいかない。いずれは必ず大貴族共を相手に権謀算術を繰り広げなくてはならない。(既にアレーナが色々としているのだったが。)
キルヒアイスは清廉さを持つ人柄であったが、他人が権謀算術を弄し他人を貶めたり生贄に捧げる陰湿な行為を嫌うところがあった。イルーナはむしろそうしたキルヒアイスの美点を高く評価して尊敬もしていたのだったが、時と場合によってはそれを押し殺してでもなさなくてはならない決断というのも出てくることをこの赤毛の若者に知ってほしかったのだった。
「わかっております。イルーナ様。」
キルヒアイスはイルーナ・フォン・ヴァンクラフトの顔をまっすぐに見返してそう言った。だが、いざそう言った局面に相対した時、彼は平静でいられるだろうか。霞一つない美しく清廉なまなざしが失望などで曇ることのないように、イルーナとしては願うほかなかった。


そして、帝国歴486年10月7日――。
進発の準備を終えたミュッケンベルガー元帥以下の討伐軍は皇帝陛下の臨御の下、軍港を次々と出立し衛星軌道上に集結していた。その中にはブリュンヒルトとヴァルキュリアの姿もある。

 リッテンハイム星
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