【ネジおじさんへ】
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さんちょっと顔上げて消え入りそうな声で『すまん……起こしてしまったか』って、逆に気遣われてさ」
ボルトは、その時の事を鮮明に覚えていた。あまり表情を変えない沈着冷静な伯父の、弱り果てた姿を見るのは初めてだった。
……時間が経てば落ち着くから、自分の事は気にせず寝ていろと言われたが放っておくわけにもいかず、ボルトは何とかネジを部屋まで運んで布団に寝かせた。
手間を掛けさせたな…と、まだつらそうな表情をして言う伯父にボルトは、具合が悪かったら病院行かなきゃダメだってばさと言ってやったが、ネジに言わせると通院してはいるものの、もらった薬ではすぐには効かない事もあり、症状が落ち着くのを待つしかないとの事だった。
どこが悪いのかと聞くと、ネジは始め黙っていたが観念したように、大戦の後遺症だと言い、時おり強弱の異なる発作的な身体的影響を及ぼすらしい。
ナルトとヒナタは無論知っていたが、その子供であるボルトとヒマワリには、あえて言う事ではないと口止めしていたようだった。
「───ヒマワリとおれには変に気を遣わせたくなかったらしくて、けどおれは知っちゃったから、ヒマワリには言わないでくれっておじさんに言われてたんだってばさ」
「そんなの、ずるいよ。ヒマだけ、知らなかったなんて……っ」
ぽろぽろと涙する娘を、ヒナタは優しく抱きとめた。
「ヒマワリ、ネジ兄さんの気持ちも分かってあげて。ボルトとヒマワリには、自分が弱っている所を見せたくなかったのよ。こんな風に…、心配させちゃうから」
「……後遺症って、治らないの?」
「兄さんの場合、根本的な治療法がないの。せめて、強く出た症状を医療忍術で和らげるくらいしか……」
「───オレがあの時、もっとしっかりしてりゃネジをこんな風にはさせなかったんだけどよ……いや、こんな事言ってもしょうがねぇな。とにかく必要以上に心配しちまうと、ネジの方が余計気ぃ遣って自分から離れてこうとするから、こっちはなるべくさりげなくしといた方がいいんだってばよ」
ナルトはそう言って聞かせるが、ヒマワリは何か思い立って口を開く。
「わたし、おじさんを癒してあげたい」
「ヒマワリ……?」
「後遺症の症状を、少しでも和らげてあげられるようになりたい。───医療忍術、使えればいいんだよね? わたし、サラダちゃんのお母さんに教わってくるっ」
「ちょ、ちょっと待ってヒマワリ…! サクラさん、お仕事忙しいはずだから……!」
母親の腕の中から離れたヒマワリは病室を出てゆき、ヒナタもその後を追って行った。
「おっ? この分だとヒマワリ、医療忍者になるかもしれないってばさ」
「ヒマワリの将来はヒマワリのもんだから、どんな道を選んでもオレは父親として応援する
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