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おぢばにおかえり
第三十六話 お墓地その十四

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「お願いだから」
「じゃあ詰所まで」
「そこまでお願いね。気持ちは嬉しいから」
 何だかんだで悪い気はしないと言うと偉そうですが。それでも阿波野君のその気遣いは嬉しいです。
「有り難う」
「お礼はいいですよ。じゃあ詰所まで」
「お願いするわね」
 こうしたことをお話しながらでした。
 私達はお墓地を後にして詰所に戻りました、その途中よろづ相談所の方に向かいながら阿波野君は今度はこんなことを言いました。
「おぢばにいると歩きますね」
「あちこちと」
「はい、それでいい運動になります」
「阿波野君は自宅生だから余計にかしら」
「そうですね、駅から神殿まで歩いて」
「学校まで歩いて」
「それで帰る時もで」
 さらに言ってきました。
「学校帰りにもあちこち寄ってますし」
「今日みたいに」
「そうしてます」
「かなり歩いてるのね」
「そのせいか高校入って痩せました」
「入学の時からすらっとしてたじゃない」
 私の見た限りではです。
「それで今はもっとなの」
「痩せました」
「そんなに歩いてるのね」
「回廊ひのきしんとかもさせてもらってますと」
 今日の午前中にしたそれのこともお話しました。
「余計になんです」
「お掃除自体カロリー使うしね」
「あのひのきしんは特に、ですね」
「夏にやったら凄い汗かくから」
 私もやってみたことがありますけれど回廊を一周したらもうランニング並の汗をかきます。その汗の分だけの運動なのは確かです。
「わかるでしょ」
「はい、そうしたことしてますと」
「痩せるっていうのね」
「高校に入ってからかなり食べてるんですが」
 それでもというのです。
「痩せました」
「そうなのね」
「食べてそれで痩せてます」
「つまりいい運動してるってことね」
「そうなりますよね、やっぱり」
「そう思うわ、いいじゃない」
「そうですよね」
「すらっとしてて」 
 阿波野君のそのスタイルを見ると素直にこう思いました。
「脂肪率低そうね」
「まあ程々ですかね」
「程々よりないでしょ」
 痩せていると言っていい位です。
「何か羨ましい位ですよ」
「先輩も太ってないじゃないですか」
「女の子はそう思われてもね」
 男の子と女の子は違います、脂肪率についても。それで私も絶対に阿波野君よりもなのです。
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