第三十六話 お墓地その十三
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「別に」
「紳士的にと思いまして」
「別に紳士でなくてもいいわよ」
相当無作法でないとです、私は別に誰にもそこまで求めないです。私自身は礼儀正しくしないといけないと思っていますが。
「阿波野君も」
「そうですか」
「それに寮まで一緒だったら」
それこそです。
「また皆から言われるから」
「僕と付き合ってるってですか」
「そう、前から言われてるし」
阿波野君と会ってからずっとです。
「だからいいわよ」
「そうですか」
「ええ、遠慮するわ」
「じゃあ詰所まではいいですか?」
「詰所まで?」
「はい、そこまでならいいですか?」
こんなことを言ってきました。
「それなら」
「まあ詰所までならね」
知り合いの人ばかりというか殆どお家みたいなところです、詰所はおぢばに帰った人達が休んだり泊まったりするところなので。御飯も食べられるしお風呂にも入られます。幾ら何でも阿波野君みたいにいつもお風呂を借りている人は他にいないと思いますが。
「いいわよ」
「わかりました、じゃあ詰所まで送らせてもらいますね」
「別にいいけれどね」
眉を曇らせて言いました。
「そこまでは」
「まあまあ、レディーファーストってことで」
「何か変なところで紳士なの?」
「根っこから紳士ですよ」
「何処がよ」
「だってレディーファーストですから」
「それだけで言えないわよ」
紳士とはです。
「人間としてどうかよ」
「先輩は厳しいですね」
「いい加減な子には言うわよ」
「寮でもですか?」
「いえ、寮じゃ」
言われてみればでした。
「あまり言わないわね」
「そうなんですか」
「言われたこともないわ」
長池先輩も二年、二年の時三年だった人も物凄く優しかったからです。特に長池先輩は優しかったです。しかも色々と教えてもくれました。
「あまりね」
「寮って平和ですか?」
「平和よ」
本当にです。
「怖い先輩もいないしね」
「じゃあ美女の園ですね」
「そんなにいいものじゃないから。というか」
阿波野君の言葉に反応する形で言いました。
「美女って」
「奇麗な娘多い学校ってもいますけれど」
「そうかしら」
「特に宇宙一の美人さんが」
私を見ながらやけににこにこしています。
「いますからね」
「それ誰?」
「まあまあ。とにかくですね」
「寮までは送らないでね」
私は真剣に注意しました。
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