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ボツ小説整理してたらこんなの出てきたIS二次創作
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国が手を結んで戦いを増長させ、他国と利権を争う代理戦争が平気で起こっている。

 先進国は急激な軍需の低下に歯止めをかけるために野蛮な戦いを続ける後進国に物資を提供し、安値で兵器を手に入れて安値で兵士を雇える後進国は嬉々としてそれを買い漁る。一社が正規軍に武器を出せば、他の一社が内紛で正規軍と戦うもう一方に武器を売りつける。
 彼等にとってはISなど、それこそ関係のないことだった。ISを管理維持する技術も余裕も無ければ、戦場に出られない兵器など必要とも思わない。何より後進国では女尊男卑論などという思想は犬も食わなかった。

 戦争を抑止するための国連は、アラスカ条約締結に伴い設立されたIS委員会の誕生によってその社会的立場が一気に薄まった。根拠もないIS抑止という机上の空論を掲げた主要先進国はその力と金の入れ所をIS委員会に移し、最早後進国や内紛を起こす国には見向きもしない。ISの方が金になるからだ。国連は形骸化して、今ではIS委員会で決める必要のない問題を押し付けられるだけの存在と成り果てた。

 ISの登場で海の向こうでは戦争が激化した。内紛や民族同士の対立もだ。平和になったのは先進国だけで、国は表でISを、裏では代理戦争で利権を争う。日本国憲法の第9条も「ISがあれば不要」とあっさり改正され、今では自衛隊は自衛軍へと変わっている。民意というのは俺が思っていた以上に脆く、愚かで、そして無知だった。

 大きな問題でもこれなのだから、細かい問題は推して図るべし。ISは世界を一変させたが、ISを扱う人間の愚かしいメンタリティはちっとも変わっちゃいない。こんな事ばかりが、今も昔も変わらない。
 現に今は女性優位だとかでセクシュアルな差別がまかり通っている現状がある。嘗ての法律が男の味方寄りだったように、今の法律は女の味方寄り。テレビに映し出される映像には女尊主義の議員が声高らかに女性が過剰に優位になる法案の説明をしている。

 非難する人間はいなかった。何故なら、非難しても「男のくせに何を言っている」と鼻で笑われる土壌がここ数年で出来上がっていたからだ。飯を平らげて茶碗の上に端をぱちりと置きながら、こんな世界で生きていくのかと憂鬱な気分にさせられる。

「嫌な世の中になったねぇ」

 不意にばあさんがぽつりと呟く。

「昔は男衆と違って勉強も満足に教えてもらえなくて、私だって男と同じくらいに勉強できるってよく言ってたよ。それでも男衆は徴兵があって御国のためにと戦わなくちゃならなかった。だからあたし達女が帰る場所になって……どっちも居なくなっちゃあいけなかったんだ」
「また戦時中の話かい?」
「戦後だって、さ。朝から晩まで戦争づくめで、死に物狂いで帰ってきたのに平和になっちまった日本に馴染めないあの人が職に就くまで、あたし
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