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けなければならないのだが、奇しくもリクターの『ランダム性重視』の政策に則り、大体理想に近いプレイヤーバランスになっている。
余談になるが、個人を象徴する物に《レアスキル》という物があり、システム的にも確立されている。普通のスキルは使用する度にほんの少し、体感的には100分の1程熟練値が上昇し、一定値を超えると熟練度が上昇する仕組みになっている。これはLv制で表され、レベルが上昇する度、性能がアップする。しかし熟練値が決められた値になったとしても、待てど暮らせど熟練度が上昇しない場合がある。それが《カンスト》と呼ばれる現象で、レベルが最大値である10に達する事はあまりない。その狭き門を潜り抜け、最高レベルに達したスキルが《レアスキル》と呼ばれ、下のレベルより遥かに高い性能を持つ。さらにそこから名称が変わる物もあり、パーティ編成では非常に優遇される。レアかどうかには関係ないが、使っていく内に、《カンスト》していても新たな技が覚醒することもある。
更にもう一つ、他のスキルから派生した物ではない、完全オリジナルのスキルも存在する。こちらは熟練度が全く上がらない代わりに、最初からかなりの高性能を誇っており、まさに「格が違う」と言うべきスキルだ。プレイヤー間では《希少スキル》――システム的には《レアスキル》と同名義――と呼ばれ、持つ者も多くはない。また、《希少スキル》は全プレイヤー中で一切同じものが存在せず、入手条件も解っていない、正真正銘の《レアスキル》である。このスキル群は使用の際のエフェクトが特にド派手で、プレイヤー同士の《決闘》では、観客を大いに賑わせる。
しかし最前線で戦うプレイヤーのほとんどは《レアスキル》を持っている。それはそれで『個性』を表しているのだが、持つ者と持たぬ者、また持つ者にしてもその個数によって(レアスキルとはいっても所持レアスキル数に制限は無いらしく、多くのプレイヤーが複数個持っている)格差が生じていて、時折摩擦が発生して小競り合いになったりもする。そして俺が知るなかで最も多くの《レアスキル》を持っているプレイヤーが、目の前で静かに紅茶をすすっている少年だ。
彼はそのスキル《瞬間移動》、スキル系統《隠密行動》の最上級《暗躍》、《索敵》Lv10、そしてステータスのほぼ全てを振った敏捷度パラメータをフルに生かし、情報屋として活躍している。基本的に各大陸のボスと最初に出会い、交戦をするのは彼であり、――前衛の攻略組は情報がない限り、あるいはよっぽどの理由がない限り、ボスとの戦闘を行わない――アウェイアンドアウェイかつ狙撃中心の戦闘によって攻撃パターンを網羅し、最前線で動く攻略組へと伝える。個人からの依頼も受け付けているため、そこそこ名が通っているプレイヤーの一人だ。
「珍しい事もあるもんだい。あんたに客だよ
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