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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
第参話 新隊長,大神一郎
3-1 敵の名は黒之巣会
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「どうしてです!?」
なぜ止めたのか。ジンはそれを理解できなかった。この力で人を守れ、それを促したのは彼女なのに、なぜ止められたのかわからなかった。
「変身したあなたの噂は帝都中に知れ渡っているわ。そんなあなただからこそ迂闊に変身したら、それこそ混乱を招いてしまうわ!」
「ッ…!」
そこまで聞いて、ジンは理解した。自分は図らずも、帝都の人々からあらゆる注目を集めている。あるものは救世主、ある者はその逆を…。そんな立場の自分が変身した姿をホイホイと、これまでの戦いのように、力を振るうに値する敵がいない状態で晒してしまうと、あやめの言うとおりになる。
変身が許されないのなら、じゃあどうすればいいのだ!ジンは苛立ちを募らせる。
『あの時』みたいに変身して戦うことさえできれば…。
と、そのときだった。
「ぐ…!」
ジンの頭に、激しい頭痛が起こった。手すりに手をかけ、膝を着く彼を見て、米田が叫ぶ。
「おい、ジン!どうした!?」
「頭が…痛い…!!」
まるで固く鋭いハンマーで頭を殴りつけられたかのような激痛だった。米田の呼びかけも聞こえない、あやめの姿も認識できなくなる。
目の瞳孔が開いたそのとき、ドクン!という心臓の鼓動の音と共に、彼は見た。

海に浮かぶ船。そこに乗っている4人の人物…。
米田とあやめ、さくらの父一馬と、もう一人おぼろげに見覚えのある若い男。
彼らの船に、一体の大きな降魔らしき巨大生物が取り付こうとしていた。それを、赤い巨人が背後から必死に取り押さえながら引き剥がそうとする。
その怪物は醜くおぞましい姿をしていた。降魔よりも恐ろしさを垣間見てしまうくらいに。何せ、体中がまるでムンクの叫びのようだったのだから。
奴の巨大な体が動く度に、大きな波が起こり、船にいる4人を飲み込もうとする。その前に魔物が米田たちに向けて、彼らを捕まえようと体から触手を伸ばしてきた…!

「ぐ、うぅ…!!」
「しっかりしろ!深呼吸だ!」
米田はジンの肩を掴んで呼びかける。怪物の伸ばした触手が米田たちに迫る。そこで奇妙なビジョンは終わっていた。それによって米田たちの声と姿も再び認識できるようになっていた。
言われたとおり、ジンは深く深呼吸し、自らを落ち着かせた。
「大丈夫?」
「はい…ッ!痛…!」
心配するあやめに、もう痛みがひいたことを告げるも、直後にまた一瞬だけだが痛みが走る。さっきの激しい頭痛と共に浮かんできた奇妙なビジョンを見た影響だろうか。
「無理しないで。さ、こっちへ…」
あやめが自らの肩をジンに貸そうとした時だった。突然船首の方から煙を噴出しながら走り出す、試作光武の姿が米田たちの目に止まった。
「光武が動いている…!」
誰かが稼動に成功したということか!試作光武はそのまま、火事の現場に到着しそのまま燃
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