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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
第参話 新隊長,大神一郎
3-1 敵の名は黒之巣会
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船に乗って海上の降魔と戦っていた…」
ガシャン!!
そこまで米田が言いかけたところで、突然艦が大きく揺れだした。
「な!?」
前触れなしの異変に、ジンとあやめは動揺した。
「そうそう、こんな感じでいきなり船が揺れて………ってなんだぁ!?」
米田も一瞬気づくのが遅れたが、すぐにまたしても自分たちの周囲に異変が起きたことを察した。警報が、軍艦の船内中に響き渡る。
甲板上では、ちょうど光武の稼動実験を行っていたところだった。これを十分に動かせただけの霊力の持ち主の中で、特に隊長にふさわしい者を、花組の隊長に配属させる。これが米田の考えだった。
しかし、軍艦の船体が大きな衝撃を発生させたことで混乱が起き始めていた。
「何があったんだ!?」
試作光武に乗っていた若い将校が、試作光武の操縦席のハッチを開いて、実験を行っていたスタッフに尋ねる。
「恐らく、試作光武を稼動している動力パイプが外れたせいだ!」
「なんだって!?」
その若い将校は声を上げる。確か、この兵器(米田たち以外は、この兵器=試作光武の詳細を知らない)はこの艦の機関室と動力パイプを通して繋がっているはずだ。それが外れてしまったら、兵器に流し込まれているエネルギーが行き場を失って暴発してしまう。
悪い予想が当たったのか、さらに艦内で爆発が起き、煙が上がり始めた。ついに発火してしまったのだ。
「まずいぞ!早く避難を!」
近くにいた他の乗組員たちは、すぐに脱出を始めた。だがそんな中、ただ一人だけ、試作!光武に搭乗していた若い将校がそこに残っていた。
自分は、海軍士官学校にて主席の成績を得た。じきに卒業が認められている。自分もここで避難すれば、卒業前に事故死するということはなくなる。これからって時になにも危険なことに首を突っ込みすぎると、未来がないということだ。
だが…彼はそう思わなかった。体が勝手に動いたと思えるくらいに、彼はごく自然に試作光武に再搭乗、操作レバーとスイッチを押す。すると、試作光武は再び彼を操縦席の中に閉じ込め、……プシュー!!と煙を吹きながら動き出した。
「行くぞ…この船の皆は、俺が守る!」
「急いでください司令!ジン君も早く!」
艦が沈む危険を予測していたのは、米田たちも同様だった。あやめが二人に対して避難を強く呼びかける。
「くそ、俺も光武が使えさえすれば…」
悔しがる米田。彼もまた霊力こそ持っているものの、光武を動かせるほどの強さではなかった。
「米田さん…よし!こうなったら…」
そんな米田の気持ちを見て、ジンが懐に手をかける。赤い巨人の力を使えば、変身すればきっと、この艦の沈没を防ぐことができるはずだ。だが、ジンが胸ポケットに手を入れようとしたのを見たあやめが、彼の手を掴んでそれを止めた。
「ジン君、だめよ!」
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