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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
第参話 新隊長,大神一郎
3-1 敵の名は黒之巣会
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いくら戦争で活躍したってもな…」
米田はあやめの説明が聞こえていたのか、強く謙遜した様子だ。…いや、というよりも、謙遜とかなしに、自分に後ろめたい何かがあるから、その言葉を心から受け入れることができないように見えた気がした。
「米田中将、そしてお二方もこちらへ」
将校のリーダー格の男が、米田たちを軍艦の方へ案内した。
『艦内の卒業候補生に告ぐ!本日新型兵器の実験を行う。候補生は1000、船首に集合せよ!』
ちょうど同じタイミングで、そのように艦の周辺に放送が流れた。



米田、あやめ、ジンの三人が訪れた海軍の港にて、大きな木製のコンテナがクレーンで下ろされた。その中身の部品は海軍の将校のほか、作業員たちによって甲板上に運ばれ、一斉に組立作業に入る。それからしばらく時間を置いた後、試作型光武の組み立てが完了し、集められた海軍の将校たちは実験に参加した。
「ここにいる海軍の方の中から、花組の新しい隊長を決めるんですね?」
ジンが組み立てられていく試作型光武を見ながら米田たちに尋ねた。
「そのために、よく海軍を動かせましたね」
今のあやめの口ぶりどおり、元々陸軍の人間である米田に、海軍を動かす権限はないが、今回は米田の思惑通りに海軍が動いてくれていた。あやめからの言葉に対し、米田は笑みを浮かべながら首を横に振った。
「俺にそんな力はねぇよ。神崎重工とは元々他の新兵器の共同実験の話があってな、その中に試作型の不具合から光武が紛れ込んでたのさ」
「不具合ですか…」
別に悪事を企んでいるわけではないが、わざと怪しさを感じるような言い回しをする米田にあやめは薄く微笑んだ。
「……」
その日はいい天気だった。まるでいいことがあるのでは?と思えるくらいに。
この日、さくらたち花組には休みが通達されている。彼女たちのせっかくのいい天気だから、街に繰り出してお出かけ日和を満喫している頃だろう。
だが、ジンはあまり晴れやかな顔を浮かべていなかった。地平線まで広がる海面を遠くまで眺めながらボーっとしていた。
「どうしたの?」
あやめがそれを見て、ジンに尋ねてくる。その声に我に帰り、ジンはあやめたちのほうを振り返る。
「いえ、その…前にもこんな感じの海が広がった日があったような気がしたんです。はっきりとはわからないんですが…」
それを聞いて、米田は思った。ジンは確かに記憶がない状態だが、それでもデジャヴという形で、体の方が過去の事を覚えているのだと。でなければ、赤い巨人変身しても、戦い方ごと記憶が吹き飛んでいる影響で、うまく戦うことができなかったことが考えられる。
「こんな感じの日だったな。お前が俺たちと会ったのも」
「ッ…!」
その一言にジンが反応を示した。
「あの日も今みたいに晴れた空でな、一馬と山崎、そしてあやめ君とともに
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