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ULTRASEVEN AX 〜太正櫻と赤き血潮の戦士〜
第参話 新隊長,大神一郎
3-1 敵の名は黒之巣会
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いた。あいつらがいなかったら、降魔戦争で生き残ることさえも難しかっただろうな」
「……」
「だが、俺たちはあの時光武も持っていなかった。己の武と霊力を武器に、降魔を相手に生身で戦うしかなかった。当然苦戦しちまったもんさ。何度死に掛けたか数え切れねぇ。それでもよく、一馬の頭を使った起点が大きく働いて、なんとか俺たちは降魔に襲われた人々を、軍の連中と連携しながら守ってきた。
だが、いくら高い霊力と有効な策を錬っても…圧倒的物量の前には無力だった。雑魚でも常人を越えた力を持つ上に数も圧倒的な降魔共に、俺たちは次第に後退させられていった」
話を聞いていく内に、ジンはなんとなく分かってきた。彼らは人々を守るために、もはや勝てないと分かっていても、自分に最期が訪れるまで戦い続けてきたのだ。きっと想像以上に過酷だったに違いない。
「けど、そんなときだったわ…あなたと出会ったのは」
「!」
ミラー越しに、あやめが自分を見てそう告げたとき、ジンは目を見開いた。もしここが帝劇だったら、ガタッ!と音を立てながら椅子から立ち上がっていたほどかもしれない。
「東京湾に降魔が現れたって聞いてな。俺たちはそこに向かって調査を行っていた。そこの海の上を航行していた船が降魔に襲われていたんだ。俺たちはその船の救援に向かった…」
「…あ、司令。そろそろ到着のようです」
しかし、このタイミングで話は一時中断となった。目的地である、海軍の演習場に到着するところだったからである。ジンはこの絶妙なタイミングでかよ…と現実を呪いたくなった。
「はは!そうむくれるなよ。俺たちは逃げねぇからよ」
ふてくされた子供のようにも見えたのか、米田はおかしくなって笑い飛ばした。
湾岸部に、一隻の海軍の軍艦が浮いていた。煙突を生やし、グレーに染まった船体はまるで、海の上に浮かぶ城のようにも見えてくる大きさだった。
(ここに新隊長が…)
今度の人は、海軍出身だというが、果たして…。
米田たちを乗せた車は軍艦を留めていた港の敷地内にて停車する。既に米田たちの出迎えのために、海軍の将校が数名ほど集まっていた。三人は車から降りて海軍将校たちに敬礼すると、向こう側もまた米田たちに対して敬礼を返した。
「出迎え、わざわざ悪いな」
「いえ、これも任務です、米田一基中将。寧ろこうして会うことができて光栄です。
日露戦争におけるあなたの武勇は、我々海軍の中でも有名ですので」
「にちろ戦争…?」
降魔戦争、とは違うのだろうかとジンは首を傾げる。それを察して、あやめがジンに説明を入れた。
「以前、私たちがいるこの大日本帝国と、ここから北西の方角にある大国『ロシア』は一度戦争になったことがあるの。米田司令はそこで指揮を執っておられていたわ。そのときの活躍が、陸海両方の軍で有名なのよ」
「よせやい。
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