ダイスロール・バトル
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ェムの対面の壁だと思っていた部分が襖のように開く。その向こうにもまた襖のような扉があり、それがどんどん開いていった。
その奥から現れたのは――白塗りの顔に目や口に赤いメイクをしている、服は赤と青の二色で構成されたど派手な着物を着た2m近くある初老の大男だった。ジェムに芸能の知識があれば歌舞伎を思い浮かべたかもしれない。
初老の大男はずんずんこちらに歩いてくると、小柄なジェムを見下ろして楽しそうに笑った。
「ほう、儂のところに始めてたどり着いたのはこんなちまい嬢ちゃんかい。山椒は小粒でもぴりりと辛いってぇところか?」
「……ちまくて悪かったわね」
体が小さいのはジェムの中では少しコンプレックスである。ムッとするジェムに、大男はまたも豪快に笑った。
「ははははは!悪い悪い、てっきり荒くれ物ばかりが挑戦しに来ると思ってたんでな。……んじゃ、さっそくやるか?」
「ええ、そうしましょう。……絶対に勝つんだから」
「おいおい、あんまり気負わねぇでくれよ?このバトルフロンティアはあくまで遊びさ」
そう言うと大男は腰の瓢箪を口を当てて中の液体を飲み始めた。中に入っているのは酒だろう。
「……あなたにとっては遊びかもしれないけど、私は負けるつもりはないわ。お父様の娘として恥ずかしくないバトルをしなきゃいけないもの」
「お父様……?ん〜?」
大男はジェムをまじまじと見つめる。そしてジェムのオッドアイに、納得したようにポンと手を打った。
「おおそうか、おめえあのチャンピオンの娘さんかい。そうか……もうそんだけ時が経ったんだな。儂も年を取るはずだ」
「お父様を知ってるの?」
いや、知る知らないで言えばトレーナーがチャンピオンである父を知らないはずはないが。大男の言い方はもっと直接的な知り合いであるように聞こえた。
「ああ、多分お前さんが生まれる前の話だが昔チャンピオンロードで戦ったことがあってな。……いやあ昔から強かったぜ。そして楽しかった。あいつのバトルはよ。……こいつはますます楽しくなってきたな。あいつの娘がどんなもんか……俺の名はゴコウ・カモン。バトルダイスのフロンティアブレーンとして……いざ、勝負!」
「その期待、応えてみせるわ。……いくよ、みんな!」
二人はお互いにボールを取り、バーチャルではない本物のポケモンを呼び出す。
「出てこい、松に鶴!」
「来て、キュキュ!」
松に鶴というニックネームのつけられたドダイトスとキュキュと名付けられたキュウコンが場に出、戦いの火花を散らす――
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