第六章
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クラスではそうでだ、家では。
千佳はシリーズの観戦を続けていた、この日カープは負けたが。
たまたまリビングに降りてきてお茶を飲んだ寿は勝利に喜ぶ日本ハムナイン達を観つつこんなことを言った。
「どっちもいい勝負していて何よりだな」
「そう思うの?」
「ああ、いいことだな」
「二連勝したと思ったら一気にね」
千佳はリビングのソファーに座って難しい顔で腕を組んで言った。
「互角にされたわ」
「そんな簡単に勝てる相手と思ってたか?」
「いや、それは」
「そうだろ、相手も強いからな」
「十一・五ゲーム差ひっくり返したからね」
「そんな相手がそう簡単に負けるものか」
千佳に冷静な顔で言う。
「相手も意地があるしな」
「本当にそうね」
千佳の今の言葉はしみじみとしていた。
「いや、明日からが本番ね」
「そうだ、五戦目からな」
「明日から余計に目が離せないわ」
「どっちももっと健闘して欲しいな」
寿は心から言った。
「広島も日本ハムも」
「カープ日本一よ」
「まあそうなってもいいな」
「そこで日本ハムがなれとは言わないのね」
「巨人が相手なら言ってるよ」
そのチームならばというのだ、球界いや日本のスポーツ界に居座る癌ならば。
「僕も」
「それは私も同じね」
「けれど広島嫌いじゃないからな」
「そう言ってくれるのね」
「カープ日本一になったら紅葉饅頭食べさせてやるからな」
「そんなのいつも食べてるわよ」
千佳の大好物なのでそれこそだ。
「別にいいわよ」
「日本一になったらだよ、これが巨人ならそうするものか」
「絶対によね」
「誰がするか」
とにかく巨人が嫌いな寿だった、尚千佳もそれは同じだ。
「というか御前が巨人ファンだったら僕は御前を洗脳していたからな」
「無理にでも阪神ファンにしていたのね」
「そうしていたよ」
「私と同じ考えね、そういえばね」
画面から聴こえるカープの歌、勝利を讃えるそれを聴きながらだ。千佳はふと思ってそのうえで兄に尋ねた。
「お兄ちゃん六甲おろし歌えるわよね」
「僕が歌えないと思うか?」
「そうよね」
「御前が毎朝かけてるからカープの歌も歌えるけれどな」
そちらもというのだ。
「最後までな」
「それはどうも」
「けれど六甲おろしなんかそれこそな」
「最後までよね」
「何時でも歌えるさ」
「選手の人達の歌も」
そちらの応援歌もとだ、千佳は尋ねた。
「やっぱり」
「応援歌のCDは毎年買ってて毎日かけてるんだ」
「それならよね、私もだけれど」
「そんなの初歩の初歩だよ」
阪神ファンとしては、というのだ。
「それ位はな」
「そうよね、やっぱり」
「じゃあ今からまた勉強するけれど」
それでもというの
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