第五章
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「カープの歌の次に六甲おろし覚えたわ」
「関西で六甲おろしが二番目ってのも凄いね」
「まずカープって」
「あのお兄さんと一緒に住んでてそれって」
「まさに生粋の鯉女じゃない」
「その私でもなのよ」
自他共に認める鯉女でもというのだ。
「六甲おろしを生まれて二番目に覚えてしかも歌詞読まないで歌えるから」
「一番だけ?」
「ひょっとしてと思うけれど」
「三番まで歌えるわ」
しっかりと、というのだ。
「何なら今歌うけれど」
「じゃあ歌ってみて」
「実際に歌えるかどうか」
「ええ、じゃあね」
クラスメイト達に応えてだ、千佳は赤い身なりのままで黒と黄色の歌を歌いはじめた。すると一番だけでなくだ。
二番、三番もすらすらと淀みなく歌えた。クラスメイト達はその彼女の言葉を聞いて言った。
「しっかり歌えたね」
「三番まで」
「間違えるところなしで」
「しかも上手だし」
「阪神ファンみたいじゃない」
「だからいつも聴いてるからよ」
家でも外でもというのだ。
「お兄ちゃんは朝も何時でもがんがんかけてるから」
「そのせいでっていうのね」
「覚えたっていうの」
「外でも聴くから」
「それでなのね」
「そう、そう思うと」
千佳は歌ってからあらためて言った。
「阪神って凄いわね、そして六甲おろしも」
「がんがんかかってるから」
「関西じゃよく」
「それでなのね」
「千佳ちゃんも覚えてる」
「そういうことか」
「正直好きよ」
六甲おろしがというのだ。
「名曲よね」
「誰でも明るく歌えて」
「歌詞もいいし」
「あんな曲他にないわね」
「名曲中の名曲よ」
「カープの歌の次にいいわね」
千佳はまた言った。
「名曲中の名曲なのは確かね」
「そこでそういうけれどいいか」
「千佳ちゃんが鯉女なのはわかってるし」
「それに阪神はけなさないし」
「親切だしね、何だかんだで」
「何かする時絶対にカープネタ振るけれど」
「カープ負けたらちょっと不機嫌だけれど」
そうした微妙なところもあるが、というのだ。
「まあいいか」
「阪神を馬鹿にはしないし」
「いつも助けてもらってるしね」
「もの貸してくれても赤しかないけれど」
「鯉女なのに鯉食べるけれど」
「どうでもいいことも言ってるし、けれど少なくともよ」
千佳としても、というのだった。
「阪神も六甲おろしも嫌いじゃないから」
「千佳ちゃんにしても」
「そうなのね」
「来年クライマックスで待ってるわ」
この言葉はだ、千佳は微笑んで言った。
「そして正面から正々堂々と破ってやるからね」
「今年みたいにはいかないからな」
「阪神を甘く見ないことよ」
「兄貴さん来年はやるから」
「若虎達が一気に台頭するから」
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