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「あ、アルタイルの短冊、読んじゃった」
ベガが悪戯っぽく笑った。
短冊は笹に飾るまで、書いた内容を他人に読まれてはならない。誰にも読まれずに飾られることで、その願いが叶うからだ。
ただ、飾った後ならいくら読まれても平気だ。多少、気恥ずかしいものだが。
「ベガの短冊も読めるな」
短冊はふわふわと揺れながらも、こちらに表を向けている。
ベガの字はいつも手紙で読むのと同じで、細く伸びやかだ。
「“約束を守りたい”…か」
「アルタイルだって“約束を守る”って書いてる」
「……ああ」
捨てさせない。
ベガには、大切なものを2度と捨てさせない。
「ガラッシアを、1つに」
「僕たちの力で、だね」
見つめ合って、微笑んだ。
俺の心はベガと一緒ならできるという安心感に満たされていた。
あたりは星流しのために訪れた観光客に溢れ、賑やかだった。
はるか天上の星たちは静かだった。
ただひとすじ、俺たちの頭上で星が流れた。
終わり
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