第1話
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ヴァとエヴァの亡骸を湖面にそっと離した。
少しずつ、ゆっくりとラルヴァとエヴァが湖に沈んでいった。
『さよならだ。行こう、雷轟。』
ヒヒィィィィィン!
雷轟は嘶きと共に駆け出し、瞬く間に湖から走り去っていった。
バラゴが雷轟に跨り、湖を去ってから数時間後、湖の底からナニカが浮かんできた。
「ケホッ、ケホッ!」
湖の底から浮かんできたのはエヴァだった。
「大丈夫かい、エヴァ?」
エヴァの手から若い女性の声―――ラルヴァの声が聞こえてきた。
エヴァはすぐさま腕を上げ、ラルヴァを胸のあたりにまで持ってきた。
「うん、大丈夫だよラルヴァお姉ちゃん。私って真祖の吸血鬼らしいから。」
「なるほどねぇ、良かった、良かった。」
「お姉ちゃんこそ大丈夫?」
「ん?あぁ、大丈夫だよこれくらいは。見た目は結構酷いけど、時間を置けば勝手に直る。どうやら気絶しちゃってたらしいねぇ。」
エヴァはなんとか泳いで、湖の畔に上がった。
「アレ?バラゴお兄ちゃんは?」
エヴァは周囲を見渡すとバラゴの姿が見当たらなかった。
「・・・っ!?エヴァこの森を出て、ラダマンテ王国の様子を見に行こう。」
エヴァがラルヴァを持って森を出て最初に見たの瓦礫の山となったラダマンテ王国のなれの果てだった。
「やっぱ、そうか。」
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「多分バラゴは私らが死んだと勘違いしたんだろうね。エヴァの事は治癒能力が高いだけの女の子だと思ってたろうし。」
「そうなの?」
「あぁ、別にあいつはそういうので差別なんてしないからいいけどさ。
問題はその後だ。あいつはホラーに憎しみを抱いてる、普段は理性で押さえてるけどさ。」
「え?」
「あいつの両親はあいつが子供の頃に死んでる。」
ラルヴァはエヴァにバラゴの両親が死んだワケを話した。
ラルヴァが話した内容はこうだ。
バラゴは当時の深淵騎士だった父と魔道具製作のスペシャリストだった魔戒法師の母との間に産まれた。
父からは魔戒騎士になるための厳しい修業を授けられ、母からは法術や魔道具の作り方や炊事・洗濯等の家事を教わりながら幸せに暮らしていたという。
しかし、そんな日々も長くは続かなかった。
バラゴが10歳になった誕生日。
修業を終え、父と共に帰宅したとき、家で待っていたのは母ではなかった。
体が弱かったバラゴの母は心の隙を突かれてしまい、ホラーに憑依されてしまったのだった。
バラゴの父は魔戒騎士としての使命を果たすべく、魔戒剣を手に立ち向かっていった。
しかし、バラゴの父は鎧を纏わなかった、自らの手で愛する妻を手
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