第1話
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..。」
『エヴァァッ!』
エヴァはゆっくりと眼を閉じ、動かなくなった。
『―――なぁ、けるなぁ』
『ウウウ!ウウッ、ウォォォォォォォォォォォッ!』
キバは深淵剣をハリネズミのようなホラーに向けて投げつけると、そのホラーの後ろにいた複数のホラーごと串刺しに貫いた。
そして、再び雄叫びを上げたかと思うとキバの鎧からは赤紫色の魔導火がマグマのように全身から噴出した。
キバはホラーを魔導火を纏った拳で執拗に殴りつけたり、噛みついて頭を引きちぎったり、頭を握りつぶすなど、最初の頃の洗練された騎士の姿はなく、そこにあるのは荒荒しく暴れ続ける獰猛な獣の姿があった。
キバが獣のように荒荒しく闘う一方で、徐々に魔戒騎士が纏うソウルメタルの鎧の制限時間である99.9秒が迫っていた。
しかし、エヴァとラルヴァの死によって怒り狂い、我を忘れたバラゴは制限時間の事を忘れていた。
そして遂に99.9秒が過ぎてしまった。
〜SIDEバラゴ〜
その瞬間、鎧が弾かれるような衝撃が全身に走り、地面を叩きつけられたかのような感覚に襲われた。
キバの鎧が生物のように鼓動を発し、脈打っていた。
体が、全身が焼けるように熱い。
全身を襲う激痛の中で、僕の意識は徐々に失われていった。
僕が意識を失う前に聞いたモノは狼の遠吠えだった。
≪バラゴ、もう御止め!優しいバラゴに戻りなっ!≫
≪バラゴ、もう止めて。元に戻って。≫
僕の脳裏にラルヴァとエヴァの声が響いていた。
≪バラゴ。お前の名前は旧魔界語で【希望】!絶望に、闇に囚われちゃダメだよ!≫
ラルヴァのその言葉で、僕の意識は覚醒した。
〜SIDEOUT〜
バラゴが意識を取り戻すと、キバの鎧を解除されており、バラゴは地面に立ち尽くしていた。
そしてバラゴの周囲には町人達の死体と瓦礫が散乱していた、いや周囲だけではなくラダマンテ王国そのものが瓦礫と化していた。
その日、一つの国が消滅したのだった。
この出来事は後に守りし者たちの間で最高の魔戒騎士が失われ、最強・不死身の暗黒騎士が生まれた【ラダマンテの悲劇】として語り継がれることになった。
バラゴは暗黒の鎧を身に纏い、ラダマンテ王国の近くの深い森の奥の湖の畔に雷轟に跨っていた。
『エヴァすまない、守れなかった。』
バラゴはラルヴァを握りしめるエヴァの亡骸を抱きながら暗黒騎士キバの仮面の奥で涙を流していた。
雷轟は主人を乗せながら、湖の中央を目指し歩みを進めていた。
『ラルヴァすまない、黄金騎士の系譜に連なる深淵騎士の称号を汚してしまった。』
雷轟が湖の中央に辿り着くと、キバ―――バラゴはラル
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