第1話
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が。
バラゴは抱き着いてきたエヴァに驚いたものの、力いっぱいに抱きしめ返した。
バラゴは抱き着いているエヴァを優しく引き剥がすと、着ていた外套を脱ぎ、革手袋と一緒に渡した。
そして、深淵剣を手元に戻し、頭上に円を描いた。
「お前は俺が守る。だから見てろ。深淵騎士キバの戦いを!』
バラゴは再び、キバの鎧を装着した。
『雷轟!』
ヒヒィィィィィンッ!
キバは深淵剣で宙に王とそれを囲むように円を描き、それを斜めに切り裂くと、そこから嘶きと共に漆黒の魔導馬・雷轟が現れた。
キバはエヴァが革手袋を着け、外套を着たことを確認すると、エヴァがそれまで被っていたマントを雷轟の背に敷き、雷轟に跨った。
『エヴァ乗れ!』
「うっ、うん。」
エヴァはキバの後ろに跨ると、両手でキバの鎧の腰回りを掴んだ。
『しかし多いな。ラルヴァ、一体どれだけいるんだ。』
「この広場に来る前にも行ったと思うけど、この国全体から凄まじい陰我を感じるのよ、
・・・もしかするとこの国の民のほとんどがホラーに。」
『なんだと。』
「バ、バラゴ?だ、誰の声?」
不安がるエヴァを安心させるため、ラルヴァをエヴァに手渡した。
「こんばんは、お嬢ちゃん。」
「誰?」
「私はラルヴァ。バラゴの相棒よ。」
「ラルヴァ、おね、え、ちゃん?」
「ふふっ、悪くないわね。そうよ、エヴァ。ラルヴァお姉さんよ。」
「お姉ちゃんっ!」
エヴァとラルヴァのやりとりを聞いていたバラゴはキバの仮面の奥で穏やかな笑みを浮かべた。
『エヴァ、お守り代わりだ。この国を出るまで懐に入れておけ。』
「うん。」
『数が多い、アレを使うか。―――雷轟!』
ヒヒィィィィィンッ!
キバの掛け声に雷轟は嘶きで答えると同時に後ろ脚の蹄を叩きつけた。
そして雷轟の蹄音の力によって深淵剣は巨大な深淵斬馬剣へと変化を遂げていた。
雷轟は全速力で駆け出すと、その背に乗ったキバは深淵斬馬剣を振るい、ホラーたちを薙ぎ倒していった。
雷轟に跨ったキバはエヴァを後ろに乗せながらホラーを討滅しつつ、着々と国と国外を隔てる壁に近づいていた。
『エヴァ、ラルヴァ、もう少しで、この国を出られる!』
「うん。やっ―――」
グサッ!
「ゴフォッ!」
その時、ハリネズミのようなホラーの攻撃によってエヴァは後ろから心臓を貫かれエヴァはそのまま雷轟から落馬してしまった。
キバは雷轟から飛び降りると雷轟を魔界に戻すと、エヴァを抱きかかえながら、その名を呼び続けた。
『エヴァ、エヴァ!』
「バラ、ゴ...。」
『エヴァ......。っラルヴァ!?』
エヴァの手には鏡の部分がひび割れ、物言わぬラルヴァが握りしめられていた。
「助け、て、くれて、ありが、と.
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