第1話
[2/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
け出し、すれ違い様に一撃でホラーを切り裂いていった。
広場にいたホラーを次々と討滅していたキバだったが、斬っても斬っても、広場の外から新たなホラーが現れ、ホラーの数減ることはなく、逆に増えていっていた。
キバは難とか少女が火炙りにされている広場の中央に辿り着くと、深淵剣を地面に突き刺した後、少女の手足を縛っていた縄を引きちぎった。
『大丈夫かい?』
「・・・うん。」
少女は怯えながらキバの問いに答えた。
『そうか。』
キバは頭と右掌部分の鎧だけを解除すると、その右手で少女の頭を優しく撫でながら微笑んだ。
「私の名はバラゴ。君の名前は?」
「・・・エヴァンジェリン。」
『良い名だ。』
少女―――エヴァンジェリンは目を細めると頬を赤らめながらうっすらと笑みを浮かべた。
「ん?火傷が・・・無い?」
「っひ!」
キバ―――バラゴのその言葉を聞いたエヴァンジェリンは顔に絶望を浮かべ、震えだし、頭を抱えながらしゃがみ込んでしまった。
「どうし―――」
「私はバケモノじゃないぃ!斬らないでぇ!イヤ!イヤァァァァ!」
「なっ!?」
『キシャァァ!』
『くっ!?』
ザシュッ!
エヴァンジェリンがいきなり泣き叫び始めたことに動揺したバラゴは背後から襲い掛かってくる一体のホラー反応が遅れてしまったものの、冷静に右掌に再び鎧を装着すると、背後から襲ってきたホラーの頭を貫手で貫いた。
エヴァンジェリンにホラーの黒い返り血が降りかかるが、バラゴは貫手を放つと同時に空いていた左手で鎧のマントを引き剥がしエヴァンジェリンに頭から被せたため、エヴァンジェリンがホラーの返り血を浴びることはなかった。
「なんで、なんで私を助けたの?」
エヴァンジェリンはバラゴが被せたマントから顔を出すと驚きの表情でバラゴを見た。
「フンッ!」
バラゴは地面に突き刺したままだった深淵剣を引き抜くとブーメランの要領で広場中央めがけてじわじわと近づいてくる正面のホラーたちに投げつけた。
深淵剣は正面のホラーを切り裂いた後、地面に落下することなく、放物線を描き、広場中央に向かうホラーたちを延々と斬りつけ続け、牽制していた。
ギュッ
バラゴはキバの鎧をすべて解除すると、エヴァンジェリンの肩に手を置きながら語りかけた。
「お前は人間だ。」
「えっ」
「エヴァンジェリン、いや、エヴァ。たとえその身が人と異なろうが、人の心を持ち続ける限り、お前は人間だよ。」
「・・・ッ、バラゴォォォ。ウッ、グスッ、ウエェェン、エェェン」
エヴァンジェリン―――エヴァはバラゴの言葉を聞いてタックルするかのように抱き着いた、目に涙を流しながら。
先ほどの絶望からきた深い哀しみの涙ではなく、自らの存在を認められた喜びによる嬉し涙であった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ