第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
16話 円卓の外側
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つ、とうとう会議室には俺以外の姿が無くなる。
やむなく、メールに指定された場所まで、文面上の案内に従って移動する。
途中で道案内してくれた斧使いの男性に頭を下げつつ、荘厳な両開きの扉をノックすると、ドアの取っ手から開錠を示す音が小さく鳴る。
「やあ、来てくれたか」
呼び出された場所――――血盟騎士団本拠地《団長執務室》には、やはりヒースクリフが一人佇むのみ。
自然体なのか、演技なのか、底の見えない相手であるからこそ何気ない態度にさえ警戒してしまうが、少なくとも今は敵になる兆しはない。危険度で図るならば聖竜連合よりもずっと与しやすい相手ではある。当然、手放しでは不可能だが。
「さっきの中身のない会議についてクレームも言いたかった。渡りに船ってものだろうよ」
「気分を害してしまったか。いやはや、どうにも君は気難しいね」
室内に響く、腹が立つくらいの美声に不自然な揺らぎはない。
どうにも、あの会議はさほど重要視していなかったかのような印象さえ受けてしまう。
「報告内容の確認だけなら、あんな大それた席を設ける理由なんてなかっただろう?」
「そうだな。具体的に言えば、あの会議は君の在り方を見定めさせてもらう実験のようなものだよ」
「実験だと?」
「ああ、スレイド君の《笑う棺桶》の潜伏先を突き止めたとの報告に対して、聖竜連合は真偽を確かめるべく斥候部隊の編制を要求し、私はそれを了承した。結果的に君の報告に虚偽はなく、聖竜連合は君に対して敵愾心と焦燥感を募らせ、君と友好関係にある《片翼の戦乙女》との間に不和を生じさせる。故に先程の会議では両者の衝突が発生したわけだが、この状況に置いて、君は如何なる反応を示すのかを確かめさせてもらった」
「……随分とふざけた真似をしてくれたな」
話を聞く限り、あの茶番はヒースクリフが意図的に発生させたということになる。
だが、この男に限って無為な行動を取るような失態はそうそうあるまい。先ずは話を聞いたうえで事態を判断することとする。
「……まあいい、目的を聞いてからだ」
「ふむ、やはり思った通りの人物だ。では手短に、順を追って話そう。この会議を模した実験は《君の人間性》を推し量る為に設けたものだ。私の見立て通りか、はたまた買い被りか。確認する必要があったのでね」
俺の人間性とは、変わったところを気にするものだ。
別にボス攻略には毎回参加するわけでもないし、参加しても目立つような位置に配置させることは在り得ない。どう考えても行動に利を求めるのは困難だろう。
「結論から言って、君は私の想定していた人間性を有していた。あの場に於いて、感情的にリンド君を攻撃することも、友好的であるクーネ君の肩
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