第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
16話 円卓の外側
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を助けられなかった俺が不満を述べ立てる権利などある筈もないのだが、それでも事情を知っていてもなおクーネ達は俺の措かれている状況を善しとしない。友人として心強い限りだが、こればかりは揺るがれてはならない。
「構わない。アレはアレで利用させてもらってる。対価にしたら安いくらいだ」
リンドの俺に対する敵愾心は、それだけディアベルに心酔していた証だ。だからこそ彼は亡き騎士の背中を、その功績の幻影をひたむきに追い続けて今の聖竜連合を作り上げた。今、彼に俺を許すような心境の変化が訪れるようなことがあれば、間違いなくリンドは道標を見失う。僅かばかり道が逸れかけている向きもあるが、まだ彼には最前線を牽引して貰わなくてはならない。
「でもね、流石にあの言われ方はリンだってキレても良かったんじゃないかい? アタイがリンの立場だったらぶん殴ってやってたけどさ」
「ボクもビンタくらいいってたかも……こう、グーで……抉るように、シュッて……」
「殴るな。それにレイのそれは動き的にフックだな。ビンタじゃないから絶対にやめろ。手を出したら余計厄介だろう。……だが確かに、少なからず迷惑は掛けた。悪かった」
リゼルとレイの怒りを抑え込みつつ、溜息を吐く。
俺と付き合いのあるクーネ達は、必然的に聖竜連合からも目の敵にされる。
その結果として、ボス攻略から迷宮区でのアイテムの取り分まで実に様々な部分で火花を散らす羽目になる。当初はキバオウが戦乙女側に立ってくれていたからこそ最序盤で最前線から弾き出されるような憂き目は回避できたわけだが、それでも今に至るまで残った遺恨は攻略組の不和の一端にもなっているように思える。だからといって俺に何を改善することも出来ないのだが。
「とにかくだ。自分に向けられた言葉であれば対処は暴力的でない限り任せるが、俺に対しての発言でいちいち落ち込むな。こればかりは肩代わりさせてやれん」
「でも、言われっぱなしになる理由にならないじゃない?」
「アレでいい。むしろ友好的に接してくるようになったら怖くて同じ空間にも居られないね」
「それ、どのみちダメじゃない……」
「根本的に相容れないからな」
別に、絶対に仲良くならなくてはならないという制約もない。
付かず離れず、多少憎まれていようと深入りしない距離感の方が都合の良いことだってあるものだ。
――――と、内心で考えを巡らすなか、メール受信を報せるサウンドが鳴る。
送り主の名は、あまり平時には関わりたくないタイプの相手であった。
「リン君、どうしたの?」
「呼び出しだ。まったく……」
「じゃあ、先に戻るわね。遅くなったけど、偵察お疲れ様」
「ああ、役に立ったなら甲斐があったさ」
気遣わしげな視線を残しつ
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