第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
16話 円卓の外側
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、この矛先を向けられる立場に甘んじるのも吝かではないと思いたい。
………だが、俺自身で理由を埋めて辻褄を合わせても、他者の認識や感情が思い通りにならないという懊悩は往々にして起こり得る。リンドの発言は完全にクーネの逆鱗に触れていたらしい。我ながら仲間想いな友人に巡り会えたものだと思わざるを得ない。
「迷宮区に入らないんじゃなくて、貴方達が要求する隠しコンテンツの調査依頼が多いから攻略に参加できないんでしょう!? しかも最近はガセネタも多くなっているって聞いてますけれど、それは彼を攻略に参加させない為の意図的な工作じゃない!」
「人聞きが悪いな。我々は純粋に前線での戦闘を有利に進めるべく効率的なステータス向上を目指しているだけだ。それに、君達《戦乙女》は彼と長い付き合いだと聞いたけれど、まさかカラダで垂らし込んで未公開情報を独占しているんじゃないか?」
「そんなことしません!」
睨み合う両名の間で瞑目する聖騎士様は、しばらく放置して粗熱を取る算段らしいが、こんな場所に呼びたてられた外部協力者の立場としては無為な時間を強いられることこそ損失というものだ。当たり障りなくと決めていたのだが、致し方あるまい。
一触即発の様相を呈したリンドとクーネの睨み合い、その水面下で火花を散らす沈黙に一石を投じるように、俺は何もない床を踏み抜く。待たされた苛立ちも少しだけ織り交ぜられた沓音は大理石の床から壁へ反響し、交錯する視線を分断させることに成功する。
「俺はこんな低俗なお遊戯を見せられるために呼ばれたのか?」
静まり返った室内に、敢えて毒気の多い言葉を放っては注意を自身に向けた。
内包する意味合いが変容した静寂に、ヒースクリフの自嘲めいた笑いが零れると、間もなく返答を向けられる。
「……いや、あくまでも会議における重要参考人として、そして外部協力者として召集させていただいた次第だよ」
「だったら話を進めてくれ。このままだと日が暮れる」
「了解した。イレギュラーではあったが、不適切な議事進行だったことを謝罪しよう」
表面上とはいえ謝罪を受けた。あとはヒースクリフに任せれば要点を押さえてくれると信じたい。
やや不服な表情のクーネと、ひたすらに憎悪の滲む視線を向けてくるリンドは棚上げとして、その後に問われる質疑の内容と言えば、アルゴを仲介として既に報告した内容の再確認と掘り下げた疑問点といったところ。強いて言うならば、報告した情報以上の回答は情報を持っていないという都合上話すことは出来ないので、実質的に報告内容の鸚鵡返しをするだけの対話が延々と続いただけ。
下手な口論も迷惑だが、この中身のない会議も迷惑なものだと思わされてしまう。又聞きによる情報の劣化を危惧しての会合であるにしても、こ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ