第2章 魔女のオペレッタ 2024/08
16話 円卓の外側
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、早急に調査を遂行した次第だ。事後報告となったが、この場での周知とさせて頂きたい。報告が遅れてしまい、申し訳ないと思っているよ」
「私が言いたのは、事前の告知が為されていなかったことではありません!」
クーネはテーブルを強く叩き、発条仕掛けのような勢いの良さで立ち上がる。
剣呑な表情でヒースクリフを睨むと、一拍置かれた後に苛立ちの籠った声が放たれた。
「元々、部外者だった彼を諜報員として抜擢したのはヒースクリフさんでしたよね? レッドプレイヤーのアジトを捜索させるという危険極まりない任務を依頼しておきながら、入手した情報の信憑性を疑うというのは、協力者への侮辱ではないですか!」
鋭い視線に晒されても射竦められることなく、ヒースクリフは事もなげに咳払いを零す。
「作戦に投入されるのは最前線を支える精鋭達だ。あくまで彼等の安全を可能な限り確保する為の行為であり、スレイド君を辱める意味合いはないと断言しよう。………君も、ギルドの長たる席に就くならば安全を重きとする旨は理解できるだろう?」
「ですが、これでは………」
口ごもったクーネの燻るような視線は、そう短くない付き合いだから読み取れる感情を物語っていた。
だが、最強のギルドを統べる合理主義の塊には、匙程の譲歩に値する材料にさえ為りはしない。それでも言葉を選ぼうとする配慮はあるのだろう。だが、僅かばかりの沈黙を破ったのはクーネでもヒースクリフでもない第三者。
「これまで尻尾さえ掴めなかったラフコフのアジトを見つけ出すのに、要した期間が余りにも短かった。その手際は称賛に値する働きだと思うよ。でも、流石に出来過ぎている。だから俺達は罠の可能性を視野に入れて斥候を向けた。………幸い、情報に虚偽は無かったみたいだから杞憂に過ぎなかったみたいだが、一先ずはご苦労様とでも言っておこう」
会議に臨席する、現在の攻略組最古参にして最大勢力の一角《聖竜連合》のリーダーたる男――――リンドだった。
「リンド君、少し言葉が過ぎるのではないか?」
「俺は彼を信用してはいませんからね。前線攻略に身を投じない逸れ者の分際で、前線に立つプレイヤーにも深く入り込んでいるんだ。レッドプレイヤーに情報を流す内通者と思われても文句を言える立場じゃないでしょう」
俺に対して事あるごとに矛を向けるのは、やはり第一層ボス攻略の因縁があったからだろう。心酔するリーダーを失ったやり場のない怒りを向けられるのは傍迷惑な話だが、助けようにも力及ばず挫折した俺を、他者の視点からすれば見捨てたと認識されても文句は言えまい。むしろ、周囲の仲間に攻撃的にならずプレイヤーを率いる旗印になり、前線攻略の中核となったのだから
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