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ベガの言葉を思い出すと胸が締め付けられる。
しかし、大河から吹く風に笹の葉が一斉にサラサラとざわめいて、あっという間に俺を現実に引き戻した。
気がつくとベガがいつもの癖で、じっと俺を見上げていた。
「…河原にたどり着いたお前は、ずっと震えながら強がっていたな」
「え?ごめん、笹の音で聞こえなかった」
「…なんでもない」
俺は小さく笑って、手にしていた短冊をさっきベガが飾ったのと同じ笹の枝に結びつけた。
再び風がそよいで、2枚の短冊が同時に揺れた。
あの時、本気で国を出ようとしていたわけじゃなかった。
国と俺を天秤にかけ、俺はベガがどんな答えを出すのか試したかっただけだ。
結果は想像以上のものだった。震えながらも俺についてきた勇敢なベガの姿に、あの時の俺は心の中で懺悔していた。
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