暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクールD×D 〜赤と紅と緋〜
第1章
旧校舎のディアボロス
第7話 駒の特性
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「旅行?」
「いえ、違うんです。この町の教会に赴任することになりまして」

 人事異動みたいなもんか? 教会も大変だねぇ。

「言葉が通じる親切な方々に会えてよかったぁ。これも主のお導きですね」

 道行く人に道を訊こうにも、日本語がしゃべれず、言葉が通じなかったみたいだ。
 俺がシスターと会話できるのは、悪魔の持つ『言語』の力によるものだ。
 俺が話す言葉を聞く人は聞き慣れた言語として変換されて聞こえるみたいだ。逆に俺が聞くすべての言語の言葉は日本語に変換されて聞こえる。
 ちなみに、千秋はちゃんとシスターの話す言語で会話している。
 話すだけなら、明日夏と千秋は英語や中国語などのメジャーな言語を話すことができるみたいだ。
 それにしても、シスターの胸元で光っているロザリオを見ていると最大級の拒否反応を覚えてしまう。
 悪魔は聖なるもの──例えば十字架なんかには触れることはできない。
 チラッと見ただけでこの反応だからなぁ。

「うわぁぁぁぁん!」

 道中にある公園の前を横切ろうとしたら、公園から子供の泣き声が聞こえてきた。
 見ると、膝にケガをした子供がいた。
 転んじゃったのか?
 すると、シスターが子供のそばまで駆け寄る。

「男の子ならこのくらいのケガで泣いてはダメですよ」

 シスターは子供の頭をなでながら言うと、子供のケガした膝に手を当てる。
 次の瞬間、シスターの両手の中指に指輪みたいなのが現れ、淡い緑色の光を発した!
 そして、光に照らされた子供の膝から傷が消えていく。

「っ!」

 その光景を見た瞬間に左腕が疼き出した!
 千秋が心配そうに小声で話しかけてくる。

(・・・・・・イッセー兄、大丈夫?)
(・・・・・・ああ。ちょっと疼いただけだ。それよりも千秋、あれって・・・・・・)
(うん。神器(セイクリッド・ギア)で間違いないよ)

 てことは、この疼きは俺の神器(セイクリッド・ギア)が彼女の神器(セイクリッド・ギア)に共鳴してるってことか?

「はい、傷はなくなりましたよ。もう大丈夫」

 シスターは子供の頭をひとなですると、俺たちのほうへ顔を向ける。

「すみません。つい」

 彼女は舌を出して、小さく笑う。

「ありがとう! お姉ちゃん!」

 子供は笑顔でシスターにお礼を言うと、元気よく走っていった。

「『ありがとう! お姉ちゃん!』だってさ」

 俺が通訳すると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。
 それから、俺たちは再び歩き出す。

「驚いたでしょう?」
「いやぁ、ははは。キミ、すごい力持ってるんだねぇ?」
「神様からいただいた素晴らしい力です・・・・・・そう、素晴らしい・・・・・・」


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