第十九話 聖堂にてその三
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「北の王国、島国、半島と一つになりだ」
「王国に向かってもらいたい」
「是非、ですね」
「この国だけではまだ足りない」
王国と充分に戦うにはというのだ。
「人が足りない、それに一つになればだ」
「北の王国や島国の力が使えるだけでなく」
「彼等に向けなくてはいけない力を王国に全て向けられる」
「王国を完全に牽制出来る」
「だからいいのですね」
「王国は強い」
このこともだ、太子はわかっていた。帝国を中心として各国の状況は完璧に把握して考えているのだ。
「この国だけでは王国の半分程度の国力だ」
「それでも大きな牽制になっていますが」
「不十分ですね」
「そうだ、一つになればな」
北の王国と島国、半島とだ。
「ようやく互角だ」
「その互角になってもらう」
「是非、ですね」
「その様になってもらって」
「王国に対してもらい」
「我々を助けてもらうのですね」
「王国は強い」
太子はこのことを念頭に置いていた、決して敵を侮ってはいない。
そしてだ、こうも言ったのだった。
「我々は既に大きな敵を内外に持っているからな」
「異教徒と諸侯ですね」
「その二つですね」
「異教徒も厄介だが」
既に国境を接し海でも対峙している、南方の囲まれた海では幾度も激しい海戦を経ている。帝都を囲まれたこともある。
「国内の諸侯もだ」
「ここ五十年は抑えていてです」
「力をかなり削いでいますが」
「それでもですね」
「侮れないものがありますね」
「特に選帝侯達はな」
諸侯の中でもというのだ。
「領地は広く兵は多く」
「権限も強い」
「厄介な者達ですね」
「だからだ」
それがわかっているからなのだ。
「彼等もだ」
「帝国の敵ですね」
「帝国の中にいようとも」
「そうした存在ですね」
「彼等は時として法皇庁、王国とも手を結ぶ」
このことも常にあることなのだ、帝国の中では。
「そして帝国内での権限を強めようとする」
「あわよくば皇帝の座も狙います」
「実際中には皇帝だった家もありますし」
「ロートリンゲン家の敵ですね」
「家臣でありながら」
「東方では古来から家臣が王を弑逆し自らが玉座に座ることは多かった」
太子は異国の歴史から話した。
「そして大陸でもだ」
「はい、古来よりですね」
「家臣が玉座を奪うことは多かったです」
「古の大帝のお父上もそうでしたし」
「これはこの大陸でも同じですね」
「同じ血筋とはいえこの国の中でも」
「力を持ち過ぎる家臣は危険だ」
太子の目は鋭かった、語るその目は。
「玉座を狙おうと思えばだ」
「それが出来る力があるなら」
「それを行うからですね」
「だからこそ諸侯も危険ですね」
「我が国では特に選帝候達が」
「あの
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