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Three Roses
第十九話 聖堂にてその二

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「正義、それは神だな」
「はい、まさに」
「正義こそが神のお力です」
「悪とは悪魔のものであり」
「正義が神です」
「神の手は遅れるかも知れない」
 また言った太子だった。
「しかしだ」
「来ないことはない」
「神は最後には必ず来られる」
「それが神ですね」
「そうなのだ」
 まさにというのだ。
「最後には必ず来て悪を裁かれ」
「人を救われる」
「そうされますね」
「そうだ、帝国も救って下さるしだ」
 他ならぬ太子の国もだ、彼はここでも己の国と民を第一に考えていた。やはり骨の髄までのロートリンゲン家の者だ。
「妃もだ」
「そうなのですね」
「あの方も」
「そして宗派は違うがだ」
 今度はマリーを見て言った。
「マリー王女もだ」
「あの方もですか」
「救われるのですか」
「神に」
「神の慈愛は無限だ」
 太子の信じるところはだ。
「おそらくだが新教であってもな」
「神に仕え自ら動かれるのなら」
「それならばですか」
「神は救いの手を出される」
「そして救われますか」
「そうだろう、私は旧教だが」
 やがては旧教の守護者である帝国の至高の座即ち皇帝となる身だ、旧教への信仰は絶対でなくてはならないとされている。
「そのうえ新教は嫌いではない、だが」
「国内を乱さない為にもですね」
「新教の存在も認め」
「そしてその教理を語ることも許されている」
「そしてですか」
「彼等を同じ神を信じているとだ」
 まさにというのだ。
「考えている、ならばだ」
「彼等も救われる」
「神によって」
「そしてマリー王女も」
「そうだというのですね」
「その通りだ、彼女も同じだ」
 神に仕え勤勉であるが故にというのだ、マリーの勤勉さはマイラがそうである様に誰もが知っているものである。
「やがてだ」
「救われますか」
「お妃様と同じく」
「そうなりますか」
「正しい勤勉と信仰、そして周りに優れた者達がいてだ」
 そのうえでとだ、太子はさらに話していく。
「自身が聡明ならばだ」
「救いは必ずある」
「神がそうして下さる」
「そうなのですね」
「必ずな、私は新教は好きでjはないがマリー王女は嫌いではない」
 太子は個人的な感情も述べた。
「その好き嫌いの感情を抑えても言う」
「あの方は救われる」
「必ず」
「そうなるというのですね」
「これから危機があろうとも」
「そうだ、もっともこの国は出来るならだ」
 ここでだ、その目を鋭くさせてだ。太子は側近達にこうも言った。
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