第2話
ep.017 『百獣を治める猛獣使い』
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ありがとうございます。」と一言いい大きく深呼吸をする。
「じゃあ、よろしくね!」
タワー前。叶世がいる。ベンチに座り頭が前に45度ほど傾いていることから寝ているのだろうと分かる。
「寝てるな。」
メガネクイ。
「寝てるね。」
「寝てますね。」
そこで久安が先陣を切り、こっそりと近づく。ベンチの裏側に回り手で叶世を押そうとしたその時、
「お前ら、遅いぞ。」
タワーの時計はちょうど8時30分を指していた。
取り敢えず叶世と助っ人である2人、地下の手伝ってくれる人物の1人目が合流できた。
合流した4人は一度『fortress本部』へと足を向け始める。その道中、地上に住む助っ人2人は地下に住みたいかと言う話題が出る。
「2人は地下に住んでみたいとは思わないの?」
「俺は、地下は無理かもな。」
反発的にふと口からこぼれた。久安と名乗ったウェイトレスも頭の上に『?』マークが。
一度こぼれた言葉に更に具体的な肉付けを、なにが言いたかったのかをより正確に。
「地下はあれだろ。犯罪者のような奴らがそこら中にいるんだろ?
悪人の巣窟みたいなそんな場所に住む気にはならん。」
メガネクイ。
「僕も地下は無理かもです。第一、学校とかもありますし登校とかを考えたら少し厳しいです。」
会話に入っていなかった叶世までも一言加える。
「特に支配区は犯罪件数が最大で、管理人の矢田や『|fortress<こちら側>』も迷惑している。腐敗区よりも犯罪が多いというのはこの区に住んでいる人間に犯罪というものをしっかりと分かった上でしている旧地下の考えが根強く残っているからだろうな。」
久安が独り言のように、小さく空気に溶かすように吐く。
「そんな。みんな支配区の人は悪いっていうけど、 それじゃあ私も悪い人になっちゃうよ」
地下の現状を理解している彼女は人間の綺麗な部分を尊重したいのだ。その部分を大切にしたいのだ。だから言った。だが、実際悪い部分が目立っている以上、彼女は大きな声で「違う!」と言えなかった。
旧地下民、三年前の時間よりも前にこの地下を取り仕切っていた人物らの総称である。
まあその話は、今はまだ詳しくはいいだろう。
「久安、お前にはなにも罪はない。犯罪をしているのはそいつらのせいだ。お前にはなにも関係ない、安心しろ。」
久安は聞かれていたことに対しての反応はせず、というよりどうせ聞かれていたと確信さえして叶世の言葉を返す。
「分かってる。『fortress』の人たちにはお店を守ってくれてもいますし別に私が悪くないなんて分かってます。」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ