第2話
ep.017 『百獣を治める猛獣使い』
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す。
「そんなにせかさないでくれますか?」
ついつい敬語になってしまった。彼女のあまりにも見下すような態度が年上の雰囲気を醸し出しているからだろう。
ポケットから折りたたまれた財布を取り出し、小銭袋の中を見る。十円玉が2つと100円玉が4つ、500円玉が2つある。それでもその小銭袋を閉じ、千円札を出す。特に深いわけはないが小銭を使うのが苦手なのだ。あと、ウェイトレスの態度に対する何かの抵抗だったのかもしれないと後になって考える。
「釣りだ。」
その一言だけをいい、百十円が渡された。
「とっとと行け。」
と一見酷いことを言っているように聞こえるが彼女の中では、
「早く言ってやれ。」
といいたかったのだ。
ツンデレのような意識した酷い言葉でなく、無自覚に口がそう翻訳しているのだ。『fortress』のメンバー程に親密になればこの現象は起きないのだが、不思議と親密でない人物には棘を通り越してやらで刺すように鋭い言葉を口が言うのだ。しかもそれを本人は全くない自覚できていないのだから不思議だ。
店を出る。もちろん「ありがとうございました。」などと言う声は一切に聞こえない。なぜあんな愛想がなく鋭く刺さる言葉しか話せない女がウェイトレスなんかをして客が来るのかがとてもおかしく、腹立たしい限りだがそんなことを深く考える間も無く服を着替えた『久安 唯』がいた。
「どうもありがとうございました。おそらくお店で言われなかったと思いますので、私の方から言わせていただきます。」
わざわざ丁寧なやつだ。地下の人間ではないような、地下の法則のようなものとは違う何かを感じる。
「では、行きましょうか。もうタワーのところにいらっしゃるでしょうし。」
そう言って彼女は
少し思ったことを言う。
「なあ、」
久安は「はい?」と聞き耳をたてる。続け、
「そんなに敬語ばかりで疲れないか?」
素直な質問を投げかけてみる。
それを聞いて少し驚いた顔をする久安は苦笑いで返す。
「はい、正直疲れてます。」
優しい彼女は初対面だからと言う理由で気安く話すのではなく、相手がどんな人物かわからない間は気安く気の置けないような話し方をするのではなく、相手をしっかり正面に見て対等に、丁寧に話すことでさっしようとしていたのだ。それは彼女の癖のようなものなのだが、たとえ相手がどんな人間だったとしても見捨てず救い、年齢がどれほど下でも敬うことが礼儀としている。
手を上げて彼女が尋ねる。
「すいません。敬語やめても大丈夫でしょうか。」
「あぁ。別に好きにしろ。」
メガネクイ。
その性格でもこれまで一度も敬語で疲れなかったことのない彼女は、「
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