暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
集いしチャレンジャー
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められても、頑張ってきたんでしょう?だから私だって――」
「ジェム」

 だが、母親の耳はごまかせない。空元気で言っていることも、本当は弱音を吐きたい気持ちも、覚り妖怪のように伝わっている。

「……昔から言っているだろう?ジェムは私やお父さんの娘であるよりも前に、ジェムという一人の女の子なんだよ。無理はしちゃいけないし……しないでほしい。あなたに何かあったら、悲しいじゃすまないんだ」

 母親の言葉は真剣で、電話越しにも赤い瞳がまっすぐ自分を見つめているような気がした。

「それにね、ジェム。トレーナーという物は基本的に無教養で無鉄砲なんだ。……施設での公平なバトルならいいけど、人目につかない場所で負けたりしたら何をされるかわからない。言いたいこと、わかるよね」
「……!」

 察して、ジェムは戦慄する。今まさに自分がいるのがそういう場所だ。見つからなかったからよかったものの、場合によってはどうなっていたか。

「だからジェム。家に帰っておいで。お父さんもお爺様もお婆様も、誰もジェムを責めたりなんてしない。……やっぱり、まだ遠くに行くには早かったんだよ」

 その言葉に、ジェムは甘えたくなる。そうだ、この状況から逃げ出したところで家族は誰も怒ったりしないだろう。母親は抱きしめて、怪我の手当てもしてくれるだろう。しかし、ジェムはここで退きたくはなかった。

「お母様、心配かけてごめんね。でも……私はやっぱり、挑戦してみたいの。今の自分の実力を試してみたい。危ないと思ったら素直に帰るから……それじゃ、ダメ?」

 ここでどうしても駄目だ、と言われたらジェムは言うことを聞くつもりだ。ジェムは聞かん坊ではないし、母親の言うことがわからない子でもない。娘の言葉に対しルビーは……深くため息をついた。

「まったく、しょうのない子だ。……約束だよ」
「……!うんっ、ありがとうお母様!」
「3回だ。3回野良試合で負けたらすぐに帰ってくること。人目のつかないところにはいかないこと。毎日夜には一度電話をして無事を知らせること。いいね」
「わかったわ!」

 ルビーの声はなおも心配そうだったが、それでも娘の意思を尊重してくれた。そのことに感謝する。

「ジェムの強さは私も知っているしね。娘の我儘を聞いてあげるさ。……女の子なんだからもっと私に似てくれたらよかったんだけどねぇ」
「ふふっ、お母様に似たら偏屈さんになっちゃうわ」
「こら。怒るよ」
「冗談よ、冗談。お母様、愛してるわ!」
「私もだよ。……それじゃあ、頑張ってね」

 通話を切る。体の痛みは残っていないわけではないが、心は随分とすっきりした。

「まずはラティを回復させてあげて……それから挑戦しに行き
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