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フロンティアを駆け抜けて
集いしチャレンジャー
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。新たにサーナイトを出したのは、自分の身を守るためだろう。

 残されたジェムも、気を失うわけにはいかなかった。ここで倒れたら、お金目的の連中に気を失った状態で施設を連れ回されかねない。

「そんなの……いや。ルリ、出てきて」

 必死に腰のボールに手をやって、マリルリを出す。特性『力持ち』を有している彼女は、ジェムとラティアスを担いだ。

「一旦、何処かに隠れましょう……お願いね」

 そう言うと、ジェムは気を失った。そうして、ジェムのバトルフロンティアはただの挑戦者ではなく。狙われる獲物としての幕をあけたのだった――。





「いったたた……」


 ジェムが痛みをこらえながら体を起こすと、そこは施設と施設の間の狭い空間だった。どうやらルリは上手く自分を隠してくれたらしい。開始早々、どこの誰とも知らない相手に連れ

回されずに済んでほっとする。

「でも……どうしよう、ラティも怪我しちゃったし、これじゃフロンティアどころじゃないかも……」

 弱音が零れる。いやそれは弱音と呼んでいいのかどうか。島中に人間に狙われるというのは13歳の少女には――大抵の人間はそうだろうが――未知の状況である。
これからどうすればいいのか悩んだそんな時。ポケベルから着信が届く。相手は、母親のルビーだった。

「ジェム、今話しても大丈夫かい?」
「お母様……うん、大丈夫」

 ルビーの声は、娘を心配する母のそれだった。

「今、こっちにバトルフロンティアの様子がジャックさんから伝わってきたよ。町中のトレーナーに狙われてるって……声も辛そうだし、もう怪我でもさせられたの?」
「ううん、違うの。実は……」

 ジェムはルビーに事のいきさつを話す。絡まれている少年を助けたら逆にけなされて喧嘩になって、ポケモンに殴られたこと。その少年はこのフロンティアの主催者の息子であることを。するとルビーは、大きくため息をついた。

「……親が親なら子も子か。ジェム――一旦うちに、帰ってきてくれないかな?」
「えっ?」
「ジェムにとっていい経験になればと思って行くことには反対しなかったけど……今のフロンティアはあなたにとって危険すぎる。こんな狂ったゲームに付き合う必要は皆無だよ」

 ルビーは基本的に娘の自主性を重んじていたが、危険が及びそうなことにはかなり心配性な部分もあった。それがわかっているからこそ、心配をかけまいとジェムは笑う。

「大丈夫よお母様。もうぴんぴんしてるし、せっかく楽しそうなところに来たのに帰るなんて出来ないわ!これくらいへっちゃらよ。お父様とお母さまの娘だもの。お父様は昔自分の憧れの人に裏切られても頑張ったし、お母様だって昔はお爺様やお婆様にいじ
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