集いしチャレンジャー
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ずにすんだのに下手に刺激しちゃって……馬鹿みたい」
「……え?」
今この少年は何と言っただろうか。ジェムの聞き間違いでなければ、おどおどしながらジェムを馬鹿にしたように聞こえたのだが。
「挙句の果てにぼくまで走らせるし……余計なお世話だよ。こんなことなら、最初から黙らせておけばよかった」
「なっ……!あんた、言っていいことと悪いことってもんが」
ジェムの怒りを含んだ声にも気にせず、少年はとどめの言葉を放つ。
「しかも何あの台詞。……恥ずかしい」
ジェムの堪忍袋の緒が切れる。多分あの男二人にも同じような調子で馬鹿にしたのだろう、こんなことなら助けるんじゃなかったと思いつつ、そして。パチン!!と少年の頬を平手で打つ。
「助けた礼を言えとは言わないわ!でも、あれはお父様が私にくれた言葉なの、馬鹿にしないで!!」
「……!!」
平手打ちをされた少年は、びっくりしたように目を見開いた。そしてその瞳にじわりと涙が浮かぶ。
「ぶった……ママにも叩かれたことないのに」
少年はフードの裏側からモンスターボールを取り出す。そしてそれを開くと、中から現れたのはメタグロス。4本の鉄足が大地を踏みしめ、強面がジェムを睨む。
「何がお父様だ。パパなんて、自分の考えを子供に押し付けるだけじゃないか。馬鹿みたい。……お返ししろ、メタグロス」
「……ラティ、来るよ!」
目深にかぶったフードから覗く少年の瞳は、本気だった。咄嗟に対応するジェム。
「メタグロス、高速移動」
「ラティ、影分身!」
メタグロスが電磁力を利用して体を浮かせ、目にも留まらぬ速さで動く。ラティアスが分身して惑わそうとしたが、少年の瞳はラティアスを最初から見ていない。ジェムの体を見つめていた。
「……『お返しする』っていったよね」
「!!」
ぞっとした。その瞳に、言葉に自分の対応は間違っていたことを確信した。少年は自分にポケモンバトルを仕掛けてきたのではない。彼は――
「やれ、メタグロス。バレットパンチ」
鋼の拳が――鍛えているとはいえポケモンに比べればあまりに小さなジェムの矮躯を、高速で殴った。
「あがっ……」
どさり、とジェムの体が少年の目の前で崩れ落ちる。階段から転げ落ちた時のような、身じろぐどころか悲鳴すら上げられないほどの痛み。それを与えたことに少年は初めて笑顔を浮かべ、そしてジェムの髪を掴んで意外なほどの腕力で持ち上げた。
「はい、お返しだよ。文句は言いっこなしだからね」
バチン、と。少年は虫の体を引きちぎるような笑顔を浮かべて平手でジェムの頬を叩く。顔にジンジンとした痛みが響くが、文句を言う余裕
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