第一部:ゲート 開けり
皇女の憂鬱&黒王軍の進撃 その1
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から下げるのはそれらが邪魔をして容易ではなかった。どうしても「向こうから頭を下げて言うべきだろう」と思ってしまい、態度にそうした考えがつい出てしまうのだ。そして自由の民側も、「こちらがわざわざ負け犬なお前たちのために話を聞いてやるんだ。有り難く思え」と態度に出てしまい、
時には直接口に出して如何に此方が立場的に上なのかを知らしめるので、なかなか会談が進まずひどい場合には中止に追い込まれるのだ。
「やはりここは私が率先して自由の民の連中に頭を下げるべきか……」
「それが一番無難でしょう。姫様自ら率先して頭を下げたとなれば向こうのプライドを満足させますし、他の将軍や貴族にも示しがつきますからな」
これを踏まえピニャが己が率先して頭を下げて交渉に臨めば、そうした傲慢な態度を取る交渉人を務めることが多い帝国の貴族たちも自分を見習って改めるだろうし、自由の民も忌々しい「帝国」の最高権力者である皇帝の一族に連なる人間が頭を下げれば、
それに対しムカつくことは無く逆に頭を下げさせたとして大いに満足するだろうと思ったからだ。
その意見にグレイも同意を示し、他の面々も暗い表情を浮かべながら頷く。今のところ思いつく最適な方法が悔しいがそれしか無いからだ。
こうして会議はこの様な事が決定し、
後日彼女が父親にこれを奉上して担当に任じられるよう努力することになった。
彼女は祖国のピンチを自分たちが考えた方法で改善した光景を夢見て思わず笑みを浮かべ、意気揚々と父上の居るであろう皇帝の間へと歩いて向かった。
・・・・・その自信満々な発案が否定され、父親に対する不信感を彼女が僅かに抱いたのは、後の事を思えば運命の転換点とも言うべきだろう。何はともあれ、
「帝国」はこのように次第に追い込まれており、条件付き和平を考える勢力は彼女以外にも出現しだしており、後にそれがピニャ皇女という錦の御旗にはそこそこ相応しい存在の下で一つに纏まり、
「講和派」と称されて帝国内で大きな力を持つ派閥となるのは未来の話だ。
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一方そのころ
「黒王軍西部方面軍 第8軍団第12師団第9連隊第第4大隊所属ウルク=ハイ部隊隊長と副隊長:ラーツとウグルク」
鋼鉄で覆われた蹄が幾つも地面を蹴って走る。その足の正体はワーグと呼ばれる狼に似た、イノシシとのハーフみたいな外見をしている生物だ。その背中には銀色の大きな鎧を身に纏ったゴリラの様な人型モンスターを背中に騎乗させ、「帝国」と劣等種(人間や亜人などこの特地に生きる自分たち以外の事を指す)が呼ぶ土地を縦横無尽にとある任務のために駆け巡っている。
その数は総勢約1600
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