第一部:ゲート 開けり
皇女の憂鬱&黒王軍の進撃 その1
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飛び散っていたり、
抜き取られたことで空洞となった胴体に糞尿がトイレのように詰められていたり、皿状の物体の上に調理”されたそれらや肉片などが盛られていたりした。
明らかにそれらの死体は、生命体として全く取り扱われておらず、単なるゴミや昆虫など劣等な存在として扱われていた。奴らは人間をまるでゴキブリなど害虫や糞のようにしか思っておらず、奴らに囚われた人間の最期はこの様に最悪な終わり方を迎えるのは明白であった。これなら奴らと戦い戦死する方が何百倍・何千倍もまだマシだと、否が応でもこれを見た全ての人間が同じことを思った。
この惨状に侯爵公子のカラスタ将軍や勲爵士のミュドラ将軍は、思わず地面に思いっきり今朝食べた朝食を胃液ごと膝を付いた状態のまま吐いた。勇猛だが意外と冷静なポダワン将軍も怒りの余り顔を炎のように真っ赤にし、先ほど切り捨てたオークの死体にその言葉にならない感情の赴くままに足蹴りを何度も行い、
終いには手に持った刀で大声で喚きながら何度も切り付けたり突き刺したりした。2人と同じように、
この場に居合わせた帝国軍の連中は同じ反応を示した。
この日以降、軍からこの報告を受けた皇帝モルトはそれを即座に国中に発表し、
黒王軍の残虐性を訴えると同時に最後まで徹底抗戦することを述べ、またそのために自由の民との一時的な和睦も検討していることを訴えた。この発表に「帝国」は大いに揺れ、
改めて敵の残酷さと自国の衰退ぶりを思い知る人間が増加し、黒王軍の残虐性を思い知り士気が低下する者もいれば、
そのように無残に殺されて更に死後も弄ばれた自国の人間の事を思い逆に燃え上がる者もいた。
そしてそれを踏まえた上でピニャとグレイの発言に、2人は果たして自由の民との和睦条件はどうなるのか気になったので彼女に尋ねてみた。
和睦を請う立場が相手と比べて政治的に弱いのは、古今東西例え異世界だろうが変わらないので、
この場合は自由の民が和睦を受け入れるような手土産を掲げる必要がある。それに納得して初めて、
相手側が和睦を妥当と考えて結んでくれるのだから。
しかし、今は衰退の一途を辿りそうでもないが、かつて「帝国」はこのファルマート大陸の覇権国家であり、自由の民を構成する亜人や属国の人間は帝国人よりも圧倒的に立場が弱く、奴隷と余り変わらない位置づけだった。まるで中世ヨーロッパやロシア帝国時代の農奴や、西洋諸国の植民地における白人の原住民に対する手荒な扱いに良く似た扱いを彼らは受けており、何かと理由を付けて迫害したり恨みを買うような行為を帝国人は長年行っていた。
なのでこのように自由の民が長年溜め込んできた恨みなど負の感情と、彼らに対し帝国人の精神に形成されたプライドや優越感などが非常に問題で、今更頭を彼らにこちら
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