第一部:ゲート 開けり
皇女の憂鬱&黒王軍の進撃 その1
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るために様々な軍事活動を行っている。
その活動の一端としては、破壊工作や暗殺、そして民心獲得工作(ハート・アンド・マインド)の3つが主な具体例だ。
例えば民心獲得工作ならば、帝国国内の田舎に工作員を派遣して現地の帝国人と触れ合い、彼らの日常生活で起こる問題を政府に代わり様々な手段を用いて解決したり、現地の知的職業人(聖職者・医師・学者など)と懇意になったり、医療技術で患者を治療したりして関心や好感度を得て、頃合いを見て何度か集会などで演説を行っていた。
その演説内容は要約すると以下の通りとなった。
・政府上層部や貴族たちは、国民から富を搾り取るだけ搾り取る事しか考えておらず、我々はその不当な搾取から諸君らを含む民衆を解放するため戦う兄弟であると説く。
・政治的、社会的、
経済的違いなどを利用して、人民を政府から引き離し、一般国民の消費物資は不足しているのに、
一部の特権階級だけが享受しているという点を強調する。
この2点に注意して如何に帝国政府上層部や貴族など支配階層が庶民にとって敵なのかアピールし、
田舎では必需の家畜技術や衛生技術の向上などを並行して行う事で、一体誰が農村にとって頼りになる存在なのかと揺さぶりをかけたのだ。
おまけに幸か不幸か幸運なことに、自由の民へ運命の女神が微笑んだのかは知らないが、帝国軍の減少により治安が悪化したので活発化してきた山賊や盗賊、
そしてその元凶である黒王軍の行動部隊などが地方で暴れまわるようになり、
それらを見事排除して現地の治安維持に努めたことでその演説に後押しするような説得力を持たせることになった。
今まで帝国政府からあまり注目されずインフラ整備などは不完全で、更に領土拡大の恩恵などを受けてこなかった田舎の人間からすれば、
本来なら敵である筈の自由の民の方が頼もしい存在と目に映った。何故なら帝国上層部が今まであまり熱心に行ってこなかったインフラ整備や様々な改革、そして治安維持や医療行為など必要なことを全て行ったからだ。
生まれてから一度も皇族の顔を見たことなどほとんどない地方の人間にとって、
頼りない祖国や上層部に対する愛国心や忠誠心を持てという方が無茶な話であり、彼らの生活を保障&改善する組織があればそっちに鞍替えするのはある意味至極当然であった。
彼らの価値観は、
戦乱の時代の世界各国の国民(戦国時代の日本など)とほぼ同じであった。自分たちの生活を保障してくれて何か生活に悪影響を及ぼさなければ、領主がどんな悪人だろうが変人だろうが大人しくその庇護下で文句も言わずに生きるのだ。
こうして地道な宣伝活動と寄り添って生きる手段が徐々に実を結び、地方では黒王軍に占領されていない地域で帝国軍が駐屯していなければどんどん自由の
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